貴方の元へ

貴方の元へ



「・・・今ごろ・・・」

今ごろ・・・どうしろって言うのよ・・・

「やっと落ちついていられたのに・・・」

クロスさんがいなくなったときは自分でもおかしくなったと思った。

最近、マルスさんからジョーさんの手術が成功したって・・・嬉しい知らせがあったから落ちついていられたのに・・・!!

カシャ・・・

「リング、どうしました?」

「マックスさん・・・」

マックスさんはわたしに近づいてきた。

「どうしました?」

「クロスさんから・・・メールがあったの・・・嬉しいけど・・・なんか・・・」

今更・・・半年前・・・私に黙ってギリシャにいったのに・・・!!

「・・・自分に素直になりましょうよ。キミはいまでも彼に会いたいんだろう?だったら、許してあげればいい・・・」

「でもっ!!!」

「昔・・・後悔だけはしたくない、といっていろいろな事をやった君なら・・・出来るはずです・・・もちろん、彼にも埋め合わせをしてもらう必要はありますけどね」

バンッ!!

マックスサンニユウキヲモラッテ。

ハシッテイタ。

アナタニアイタカッタ。

メールナンカジャナクテ。

イマスグニ。

 

「おねがいします!行かせてください!!」

シグナスさんに叫んでいた。他の事なんてどうでもよかった。

「しかし・・・な・・・」

シグナスさんが困ったような顔をする。

「私、今行かなきゃ後悔します!お願いします!!」

私は再び頭を下げた。後悔だけはしたくなかった。昔と同じ、気持ちになれた。

「・・・・・・お前の隊長にまかせる」

それを聞いた時、私はまた走っていた。

 

「ギリシャ支部・・・か・・・」

隊長、レイヴンさんが自分のバイクをいじりながらいった。

「いいんじゃねぇか?俺に止める権利は無いし・・・」

「本当ですか!?」

その言葉を聞いて、私は喜んでいたが、レイヴンさんは笑いもせずにいった。

「ほら・・・さっさと荷物をまとめろ。俺がチケットとか、そういうのはやっておくから」

「・・・ありがとうございます!!」

べしゃ・・・

そういって走り出そうとしたら、背中の翼をつかまれて私は転んだ。

「いたっ・・・」

「ほらよ」

隊長はそういうと封筒を投げた。私はそれをキャッチする。

「・・・これは?」

「餞別だ。ギリシャに行くんだ。少しでもあったほうがいいだろ?」

「・・・はい!失礼します!」

わたしは今度こそ部屋に向かって走り出した。隊長がやれやれといっていた。

 

「・・・送信・・・っと」

最近迷惑メールが多いからアドレスを変えた事や、そっちに行く事などを書いて、メールを送った。さっき隊長から連絡があって、1時間後にはもう雲の上だ。

「・・・どんな顔して会えばいいかな・・・?」

ふと、考える。わたしは笑って会えるかもしれないけど、貴方はどうだろう?困った顔をするかもしれないし、喜んでくれるかもしれない。

「荷物も送ったし・・・いきますか・・・あっちではどんなことしようかな・・・」

家とかどうしようかな・・・料理は自分で出来るけど・・・そうだ!クロスさんに料理作ってあげよう♪

それと・・・いままで私が一番大切にしてきたものをあげよう・・・ペンダントのお返しに・・・

「リング!そろそろ行くぞ」

「は〜い!」

隊長に返事をして、ノートパソコンのコンセントを抜いた。

かばんの中にパソコンを入れて、部屋を出ようとした。

「・・・短い間だったけど・・・結構気に入ってたんだけどね・・・」

そう言って、自分のトレードマークだったオレンジ色のリボンを外して私は部屋のドアにくくりつけた。

「また・・・くるからね・・・」

私はそういって、部屋を出た。

 

みんなに挨拶をして、お兄ちゃんとウィルドさんからいろいろ言われて、飛行機に乗った。みんなから、手紙やらなにやら色々貰ったが、とりあえず全部かばんに突っ込んだ。

「・・・ばいばい・・・みんな」

そういったとき、頬を何かが通ったのがわかった。

「・・・また・・・あえるよね・・・」

数時間後、私は空港についた。

「えっと・・・」

かばんを受け取って、ギリシャ支部に行こうとして、歩いていたら、人ごみの中に、貴方がいてくれた・・・

「クロスさん!!」

かばんを落として、私は走って・・・抱きついた。胸には、貴方から貰ったペンダントが光っていた。

 

 

<END>







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