BABY!恋にKNOCK OUT!



「はじめまして、ぼくはマリアっていうの、よろしくね♪」

 差し出された手を握り返した時、なんて小さな手なんだろうと・・・何故かこの子を守りたいと・・・思った・・・

 

 

 

 ハンターベースの屋上で空を見上げながらぼんやりとしている一人の少年。

「アクセル・・・こんなところで何をしている・・・」

 少年をアクセルと呼び、声をかけたのはこのベース内で知らない者はいないほどの凄腕ハンター。

「・・・ゼロ・・・か・・・別に。ただボーっとしてるだけ」

 ちらりとゼロのほうを見てそれだけ答えると、アクセルはまた空を見上げた。

「・・・それより、何か用?」

 早くどこかに行ってほしいと言わんばかりのアクセルの様子に、ゼロ小さなため息を一つついて彼を探していた理由を話す。

「・・・シグナスから収集がかかった。5分以内に司令室に来い」

「・・・それだけ?」

 あまりに短い説明に、アクセルは思わず聞き返す。そのくらいなら放送でもして呼び出せばいいのに・・・と。

「言っておくが、放送での呼び出しは10分前から何度もしていた。それでもお前がなかなか現れないから俺やエックスがお前を探していると言うわけだ・・・」

 アクセルが口に出して聞く前に、ゼロが理由を答える。

 余計な手間をかけさせるなとでも言っているかのように、不機嫌そうに腕を組みながら・・・

「あ・・・じゃ、じゃあ僕行くよっ!」

 そんなゼロの様子に、アクセルは焦りながら屋上から駆け出していった。

 彼の後姿を見送っていたゼロは、彼がいつからぼんやりするようになったのか考えていたのだが・・・

 

 間違いなく・・・マリアに会わせた日から・・・・だよな・・・・

 

 マリアはゼロとエックスの妹。先日、アクセルに彼女を紹介したのだが・・・どうやらその日からアクセルはぼんやりとすることが多くなったようなのだ。

 

 ・・・失敗したな・・・こんな事なら会わせなければ良かったか?・・・いや、駄目だ。同じベース内にいる以上、いつかは顔を合わせる・・・・

 

 しばらく考え込んでいたゼロだったが、不意にニヤリと笑みをこぼし歩き出す。

 

 ・・・まぁいい。マリアに手を出せばどうなるか・・・教えてやればいいんだからな・・・

 

 くつくつ邪悪な笑みを浮かべ、そんなことを考えてながら屋上からベース内へと戻っていった。

 

 

 

 

 それから数日・・・ハンターの仕事はなかなか大変なものではあるが、特に何も事件は起こらず、平穏に日々は過ぎていた。

 そして、いつもと変わらず空を見上げぼんやりとするアクセル。

 ちなみに今彼は休憩所のベンチに座っていたりする。

「あれ?アクセル・・・?」

 ぼーっと空を見上げている彼に声をかけたのは・・・

「ん?・・・・あっ!!」

 マリアだ。

 彼女は隣に座っていいかとアクセルに尋ね、彼が返事をするとにっこりと笑ってベンチに腰掛けた。

「珍しいね、アクセルがここに来るなんて」

 普段はエックスに認めてもらうためにいくつもの任務を請け負い世界中を飛び回っているのでここでゆっくりしている彼を見るのは本当に珍しいのだ。

「ぼ・・・僕だってここで休むことくらいあるよ」

 チラチラとマリアの方を気にしつつ答える、彼女は特に気にした風もなくそっかぁと答えた。

「マリアは・・・なんでここに?」

「ぼく?」

 同じ質問を返すと、マリアは少し照れたように・・・

「えへへ〜♪ぼくはね、待ち合わせなんだ」

 と言って微笑んだ。

 アクセルはその微笑につられて笑顔を返したが・・・

「あ・・・あのさ・・・、待ち合わせって・・・・・・・誰・・・と?」

 自分が気にしている人物が誰かと待ち合わせをしている。その『誰か』が気になる事は至極当然・・・

「あのね・・・」

マリアちゃーん!!

 マリアが答えようとしたちょうどその時、彼女の名を呼ぶ男の声が・・・

「ごめんね、待った?」

「ううん、ぼくもついさっき来たとこだし」

 待ち合わせをしているカップルの定番のセリフを言う二人。

 幸せそうに微笑む彼女の元へ駆け寄ってきたのは・・・・

 

 アクセルよりも背が高く、アクセルよりも体格ががっしりしていて、アクセルよりもエックスに信頼されている・・・

「あ、アクセルはハルト君とは初めて会うんだよね?」

 イレギュラーハンター第7空挺部隊に所属の・・・ハルト=ルヒエル・・・

「アクセル?・・・ああ、君が・・・はじめまして、俺の名前はハルト。君の事はエックス先輩から聞いてるッス♪よろしく!」

 ニカッと人懐っこい笑みを浮かべ、手を差し出す。そんな彼の顔と手を交互に見ていたアクセルは、差し出された手をぎゅ〜!!と力いっぱい握り締め、ハルトを睨みこう言い放つ。

「はじめまして。僕はアクセル・・・あんたには、絶対負けないからな!!

 そしてきょとんとする二人を残し、アクセルは走り去ってしまった・・・

 後に残されたハルトとマリアは、顔を見合わせ首をかしげる。

「・・・負けないって・・・何を・・・?」

「・・・・さあ・・・・・・?」

 

 

 

 その日からトレーニングルームで、一心不乱にトレーニングをしているアクセルを良く見かけるようになった・・・ちなみに、食堂で牛乳とにらめっこをする姿も多数目撃されているとか・・・

 

 

END



後書き

レプリロイドなんだから、トレーニングや牛乳飲んだりしなくても改造してもらえば一発なんじゃ・・・・とは思っても口に出して言ってはいけません(笑)

なんかアクセルって牛乳が嫌いそうなイメージあるんですよねぇ〜・・・

これはアクセルとマリアの年齢が近そうに感じて出来た小説なんですが・・・なんだか書いていてとても懐かしく感じました・・・

ちょうどアクセルが昔のクロスと重なってるんですね〜(苦笑)

ちなみに別小説(全員人間)ではマリアとアクセルが双子の兄妹になってたりします(爆)

そっちの関係の方が私は好きなんですけどね(笑)





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