アオイサカナ

序章 −水の中−



・・・ピチャン・・・・

 

 深夜の室内プール、そこに彼はいた・・・浮くことを忘れてしまったかのようにその身体を水の底に横たえ目を閉じて・・・

 

 『本当に・・・俺一人で大丈夫なんだろうか・・・・』

 

 彼の頭の中では今日伝えられたミッションの事で一杯だ。

 ここ、ギリシャ支部に来て約1年。久しぶりの大役だ、しくじる訳にはいかない・・・だが、自分にそれが勤まるのか。ずっとそればかりが頭の中をまわっていて・・・今はそんな頭を冷やす意味も込めてこうやってプールに入っている。

 事の始まりは今日の夕刻。レーダーに映った複数のイレギュラーの反応・・・彼はそれを一人で処分するようにとの指令を総監から直接受けたのだ。

 

 『今までだって何度も一人で出動してたじゃねーか・・・今更何びびってんだよ・・・俺は・・・』

 

 目を瞑ったまま心の中で苦笑し、胸で光る愛する人をイメージして作ったセイクリッドエンジェルのペンダントを握り締める・・・まるで心にある不安を取り除こうとするかの様に・・・そしてそのまま起き上がりプールサイドへ泳いでいき・・・

「ぷはっ」

 水面に顔を出した彼は時計を見て時間を確かめるとすぐに更衣室へと歩いていった・・・







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