Color Oils

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 私は・・・ずっと眠りたかった・・・この体になる前の記憶を取り戻してから・・・いや、あの時・・・愛するもの達と共に逝けなかった時から・・・・ずっと・・・

 尊敬していた父と母・・・本当は私も共に死にたかった・・・一人だけ生き残りたくなかった・・・

 ・・・だが、私だけ生き残った・・・

 瀕死の状態の私を奴等が発見し、実験のために私の体の失われた部分をレプリロイドと同じ物にした・・・そのときに本来の私の記憶は封じ込められ、レプリロイドとしての記憶を入れられた・・・それが・・・今の私・・・

 

 

 ・・・ようやく・・・私も眠ることが出来る・・・・

 ・・・アナタハ・・・本当ニコレデ・・・イイノ?

 どこからか声が聞こえる・・・

 コノママ・・・眠ッテシマッテ・・・イイノ?

 うるさい・・・もうこれで終わるんだ・・・

 本当ニ・・・終ワリナノ?

 何が言いたい? もう眠らせてくれ・・・

 目ヲ開ケテ・・・ネェ・・・外ヲ見テ・・・

 うるさい・・・うるさい! うるさい!! うるさい!!!

 逃ゲナイデ・・・サァ、目ヲ・・・開ケテ・・・

 

 

「いいかげんにしてくれ!!」

 私は、声の主のあまりのしつこさに怒りを覚えて叫びながら目を開けた。

「・・・・・・・・ここ・・・は?」

 辺りは真っ暗で・・・どこにいるかまったくわからない状態だ。

〔ようやく・・・・起きてくれたのね・・〕

 先ほどの声の主だ・・・その姿をしっかりと見ているはずなのに・・・おかしい、輪郭がハッキリしない・・? 何だ?・・・まるで、すりガラスが一枚間にあるような・・・・

〔私の姿が見にくいのが不思議なのね・・・でも、今はそんな事を言ってる場合じゃないの・・・見て・・・〕

 声の主が指差す方向が急に明るくなる。私はあまりのまぶしさに目を覆った・・・

 

【Dr!!】

 螺旋だ・・・螺旋が私を呼んでいる・・・・

 私は手をどけ、光を見た・・・そこに映っていたのは・・・

《バシュ!!》

「!!」

 螺旋の腕が吹き飛んだ! 私は光に駆け寄っていた・・・

「あ・・・・ああ・・・・」

 彼は傷つきながらも私への忠誠を変えずに、アンジュの交換条件を断っていた。

「螺旋・・・どうして・・・」

〔解らない? 彼はあなたを愛しているの、何度も言っていたでしょう?〕

「だからと言って! こんな・・・」

〔愛するって、そう言う事だと思うわ・・・自分なんてどうなったって良いの、愛する人さえ守れれば・・・あなたは、それを忘れてしまっているだけ・・・〕

「・・・・・・・・・・・・・」

 もう1度モニターを見た・・・すると、アンジュがポケットから何かを取り出しているのが見えた。

「!? それは! アンジュ!! 止めろ!! 止めるんだ!!!」

〔・・・・・・・無理よ・・・・・こっちの声は向こうには聞こえないの・・・〕

 私はかまわず叫びつづけた・・・・

「止めろ!! 止めてくれ!!!」

 容器が割れ、辺りが真っ赤な炎で包まれる・・・炎以外何も見えなくなり・・・

【がぁ・・・・・ぐ・・・・・ふ・・・・・・うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!】

 螺旋の悲鳴・・そしてあとはただアンジュの笑い声が聞こえるだけ・・・

「螺旋!! 螺旋!!」

 そのまま映像は炎から離れていき、やがて、何も映らなくなった・・・

「これは・・・一体・・・・・夢・・・・なのか?」

 私は、夢を見ているのか? こんな・・・悪趣味な夢を・・・・

〔残念だけど・・・夢ではないの・・・ねぇ、今度はこっちを見て・・・〕

 今度は違う方向に映像が映し出された、そこには・・・

「ヴィ・・シュヌ?」

 モニターをさらにモニターで写したような映像の中に、横たえられたあの子の姿が見えた。

「何故・・・?」

〔あの子も・・・あなたを守っていたのよ・・・〕

「なんだと・・? 馬鹿な! ヴィシュヌにはもう好きなところに行けと!!」

〔でも、あの子はあなたのもとを離れなかった・・・・気付いていたでしょう?〕

「・・・・・・・・・・・・」

〔今まで、組織のレプリロイドが進入しなかったのはあの子のおかげ・・・・あの子が、ずっと戦ってくれていたから・・・・〕

「私は・・・私は・・・こんな事をさせるためにあの子を自由にした訳じゃ・・・」

 私はその場にへたり込んだ・・・・頭の中が真っ白になっていた・・・もう・・本当に永遠に眠ってしまいたい・・・・

〔ねぇ、たしかに生きることは辛いし、苦しいわ・・・でもね・・・〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔・・・あなたは生きなきゃ・・・・〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故だ?」

 声が震えていた・・・どうしてこいつはこんな事を言うんだ?

〔だってあなた・・・もう一人じゃないもの〕

「・・・何?」

 何を言っているんだ? ヴィシュヌも、螺旋も・・・もう・・・

「良く見て、あなたなら解るはずよ」

 言われるまま私は映像をよく見た。

「・・・これは・・・」

 ヴィシュヌは私がこの世に生み出したレプリロイド、この子の構造は完全に把握している。どうやらまだ完全に機能停止しているわけではない様だ・・・胸についている水晶の光が点滅している。それはこの子が、一時的に休眠状態に入っている事を示している・・・

〔そう、あなたならまだあの子を助ける事が出来るわ・・・それに・・・・〕

 また別の映像が浮かび上がる。そこには螺旋の姿が・・・・

 彼は何度もその身に攻撃を受け、ボロボロになりながらも諦めていなかった。

【かま・・・わん・・・・よ・・・・・・・・・もと・・・・よ・・・り・・・の・・・・い・・・・・のち・・・・どく・・・・た・・・た・・・め・・・・・・・・・に・・・】

「・・・・螺旋・・・」

〔まだ・・・眠りたい?〕

「・・・・・・・・・・いや、こんな物を見せられては、もう目が覚めてしまったよ・・・・・」

 私は今はもう・・・

『生きたい・・・彼らと共に・・・』

 声が重なった・・・・その瞬間、無数の光が私の体を包んでいく・・・

〔よかった・・・・・・・・・覚えていて・・・あなたは愛されていたの・・・忘れないで・・・あなたはもう一人じゃないの・・・〕

「ああ・・・すまなかったな・・・・・・・お前は・・・人間だったころの私だろう?・・・」

 そう言うと、昔の私は微笑んだ。

〔もう、道を間違えないでね・・・・・・・・・・・・〕

「お前はどうなるんだ?」

〔私は・・・ずっとあなたの心の中にいるわ・・・あなたが、私を忘れない限り・・・ね〕

「そうか・・・」

〔さぁ・・・早く行って、あの子達を助けられるのはあなただけなの〕

 そして、私は完全に光に包まれた・・・・

 

 

 生きよう・・・たとえこのまま苦しみが続くとしても・・・生きよう・・・彼らと共に・・・







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