Color Oils

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 光りが辺りを包み込んだ瞬間、彼女の声がした・・・

「アーマーコード『BISHOP』(ビショップ)・・・セットアップ!!」

 ドゴォォォォン!!

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 衝撃音と共に、シグマの悲鳴が聞こえ、徐々に光が収まって来たとき俺達の目の前には白銀のアーマーを纏い、純白のマントを翼のようにはためかせた彼女が立っていた。

 シグマはうつ伏せに倒れて恨めしそうに彼女を睨みながらうめいていたけど・・・

「お・・・おのれぇ・・・・」

 彼女はそんなシグマを無視し、動かなくなった螺旋に駆け寄った。

「螺旋・・・すまなかったな・・・」

 彼女は愛しそうに螺旋の頬を撫で・・・

「すまんが手伝ってはもらえんか?」

 急に言われて俺とゼロは慌てて彼を横たえるのを手伝った。彼女は手際良く螺旋の様子を調べると彼のボディのある部分に手を触れた・・・・

 

 【−− Dormancy program start −−】

 機械的な音でそれを告げる、『Dormancy』つまり、『休眠』・・・・螺旋が助かる!?

「・・・これでいい・・・」

 そう言って笑みをこぼした彼女は、立ちあがりシグマを睨みつけた。

「悪いな・・・形成逆転と言うヤツだ・・・」

「・・フ・・・・ククク・・・まさか貴様のような人間に・・・」

「・・・・私は人間ではないよ・・・無論、レプリロイドでも・・・・」

「シグマ様ァ!!」

 そこまで言った時・・・彼女・・・アンジュが奥から出てきた・・・彼女はシグマに駆け寄り、まるで恋人に話しかけるように優しい声で奴に囁いた・・・

「ああ・・・おいたわしや・・・直ちに代わりのエネルギーを・・・」

「無駄だ・・・この実験の為に改造された人間は・・・・私以外死んでしまった事を忘れたか?そのボディのエネルギーとなりうる能力を持った者は・・・もう私しかいないと言う事を・・・」

 アンジュはまるで何も聞こえていないような感じだった、ごそごそと準備をはじめ、まとっていた白衣を脱ぎすて・・・俺たちは・・息を飲んだ・・・・

「エネルギーならいるわよ・・・ここに・・・・」

 彼女の・・・動力炉があるべき場所に・・・・

「・・・まさか・・・貴様・・・・・・人間を・・・・?」

 ・・・人間ノ心臓ガ・・・脈ヲ打ッテ・・・・・・・・・・・

「お前!人間を殺したのか!?」

 ゼロの言葉にハッとする。

「だから何だって言うの?・・・人間なんて腐るほどいるじゃない、それに私は人間がしていたことと同じ事をしたに過ぎないわ・・・」

 人間と同じ事?・・・それってどういう・・・

「その言い草だと・・実験段階でも何人か殺しているな・・・」

 アンジュの言葉の意味を、彼女は理解しているらしい・・・

「あら、人間だってそうでしょ?実験だなんだって言って、たくさん動物殺してるじゃない、だから私も同じ事をしただけ♪」

 そう笑いながら言う彼女に俺は何も言えなかった・・・ただ・・怖かった・・・アンジュはおそらく笑いながら人を殺せるんだろう・・・

「いつから・・・いや・・・お前は元々そういうところが有ったな・・・他の命を軽んじるところが・・・」

 そこまで言うと彼女は俺達のほうを見て静かに言う・・・

「ここは、私に任せてはもらえぬか?」

 俺達は、正直言ってどうして良いかわからなかった・・・

「頼む・・・」

「・・・・ったく、ここには頑固者しかいねぇんだな・・・」

 そう言ってゼロがにやっと笑う。

「そこまで言うならお前に任せる・・・・だが・・・完璧に仕留めろ・・・それが条件だ・・・」

 ゼロの言葉に満足そうに彼女が微笑む。

「了解した・・・お前達は早くここを脱出しろ・・・」

「・・・螺旋は・・・・どうするの・・?」

 ・・・俺の問いに彼女は驚いていた・・・

「まさかお前からそう言って貰えるとはな・・・出来るのならば・・・・あいつも連れて行ってやってくれ・・・」

 優しい微笑で彼女は言う。

「はい!!・・・・あの・・・・・また・・・あとで必ず会いましょう・・・死なないで下さいね・・・」

 俺の言葉に彼女は頷くと、すでにアンジュを動力源として復活したシグマに向き直り・・・

「さぁ・・・ここからは私が相手だ・・・行くぞ・・・」

 そして俺達は動かなくなった螺旋を連れ、この場所を後にした・・・シグマが攻撃を仕掛けてきたが、全て彼女が防いでくれ、俺たちはほとんどダメージを受けることもなくその部屋から出ることが出来た。



 しばらく長い廊下を移動していて、俺はある事を思い出した。

「ねえ、ゼロ・・・」

 歩きながらゼロを呼ぶ。

「どうした?」

「螺旋のこと、一人で連れて行くこと出来る?」

 しばらく考えて、彼はこう答えた。

「出来ん事は無いが・・・何故だ?」

「・・・あの子・・ヴィシュヌも助けなきゃ」

 そういった俺の顔を彼は目を丸くして見つめ・・・

「お前・・・ったく・・・また悪い癖が出てきたな」

 口ではそう言ってたけど、彼の顔は笑っていた・・・

「行って来い。だが、助けに行って一緒に生き埋めなんて間抜けなことはすんじゃねーぞ」

 俺は頷き、ゼロに背を向けて走り出した。

 必ず・・・皆で生きて帰るんだ!!







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