Color Oils

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 最初の任務から数ヶ月が経った。

 今、エックスとゼロの二人はある研究施設にいる・・・いや、研究施設だったと言ったほうが正しいだろう。そこはすでに破壊された後で、あたりには瓦礫と化した建築物があるだけだった。

「本当にこんな所にいるのか?」

「間違いないよ、彼女特有のシグナルがこのあたりから出ているんだ。」 

 瓦礫の山を捜索してしばらくたった。

「ゼロ!! ちょっと来て!」

「どうした?」

 そこには地下に通じる扉のようなものがあった。

「・・・開けるぞ、いいな?」

 頷くエックス。それを確認して、その扉を開け長い階段を降りつづけた。そして、急に開けた場所に出ると目の前に電子ロックされた扉が出てきた。

「行くぜ」

 そう言って扉をセイバーで切り開き、中に入る。

 そこは1メートル先も見えないような闇に包まれた空間が広がっていた。

「また・・・来たの?」

 闇の最も深い場所から声が聞こえる。そしてその声を合図にしたかのように明かりがついた。

「これは・・・」

 部屋の中にはいくつものレプリロイドが倒れていて、向かい側の扉に凭れて座っていたレプリロイドがゆっくりと立ち上がった。

 そのレプリロイドはその容姿には不釣合いの大きな鎌を持ち、金の長い髪を後ろにくくり、白いアーマーを装備していた・・・が、今までの戦闘で付いたのであろう、アーマーや金の髪には赤黒いオイルなどがついていて、本来なら美しいはずのその容姿がひどく汚れていた。

「本当にしつこいね・・・まぁいいや、君達もちゃんとここにいる仲間の所に送ってあげるから・・・ああ、心配しなくていいよ。殺したりはしないから。少し痛いかもしれないけどね」

 そう言うと同時にそのレプリロイドは攻撃をしかけてきた。二人はそれを左右に避けると反撃に出た。



 時間さえもわからなくなるほど戦いつづけていた三人だが、『それ』は急におとずれた。

「あ・・・・・・く・・・・・・う・・・うわぁぁぁぁぁ!!」

 白いレプリロイドのボディに激しく電撃が走る、そしてそのまま倒れこんでしまった。エックスとゼロは、最初何が起こったのか理解できていなかったが・・・

「オーバーヒートだ・・・」

 ゼロが呟く、その言葉をエックスが聞き返す。

「オーバーヒート? でも、どうして・・・」

「よく見れば、こいつはどうやらハンタータイプじゃないようだ・・・タイプ的にサポート用かオペレート用だろう・・・どちらにしろおそらく今までメンテをせずに戦い続けていたんだ、ハンターでもそんなことをすればすぐにガタがくる。今までもっていたのが不思議なくらいだ・・・」

 エックスは倒れたレプリロイドに近づく。

「オイ! まだ完全に機能停止したわけじゃないんだぞ!!」

「大丈夫だよ・・・」

 ゼロの静止も聞かずそのレプリロイドをゆっくりと抱き起こす。

「ぐ・・・あ・・・・」

 もう自分の力で体を動かす事が出来ないようだ、その姿はかなり痛々しいものであった・・・

「よく聞いて。君は、俺達を彼らの仲間と言ったけど・・・それは違うよ」

 エックスは優しく、そのレプリロイドにちゃんと聞こえるようにゆっくりと話し出した。

「ナ・・・・ドウ・・・・言ウ・・・」

「彼らは何処かの調査用レプリロイドみたいだけど俺達はイレギュラーハンターなんだ」

「・・・ア・・・ノヒ・・・トヲ・・・・コ・・・ロシ・・・ニ・・・・・?」

 『殺す』その言葉を聞き、エックスは慌てて否定をする。

「違うよ! 彼女はたしかに沢山の研究所を破壊した、でも・・・俺にはどうしても彼女がイレギュラーだなんて思えないんだ、だから・・・それを確かめに来た」

「・・・・・・・殺・・・サ・・・ナイ・・・?」

「ああ、殺したりなんて絶対にしない」 

「ジャ・・・ア・・・アノ・・・ヒ・・・ト・・・ヲ・・・・・・俺・・ノ・・・母サ・・・ンヲ・・・助・・・ケ・・テ・・・・ソ・・・・・レガ・・・ヴィ・・・シュヌ・・ノ・・願・・イ・・・」

「ヴィシュヌは、君の名前かい?」

「ソ・・・ウ・・・オ・・・・レ・・・・貴方・・・・・生キ・・・テ・・・ホシ・・・ト・・・・・」

「わかった、ちゃんと伝える・・・そして彼女は俺達が守るよ・・・」 

 その言葉を言った瞬間、ヴィシュヌが微かに笑ったように見えた・・・ 

「エックス・・・」

 ゼロが声をかける。ヴィシュヌをそっと横たえるとエックスはすくっと立ちあがり。

「・・・大丈夫・・・先を急ごう」

 そして、再び駆け出した・・・







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