Color Oils
長い長い廊下を走り続ける・・・今耳に聞こえるのは自分達の足音だけだ。 「おい、エックス」 不意にゼロがエックスに話しかける。 「なに? どうしたの?」 「・・・お前・・・今からでも引き返せ」 「な! どうしてさ!!」 ゼロの言葉にエックスは驚き、彼の前に立ち止まり言い寄る。 「今回の敵はお前には不適切だ・・・だから」 「戻らないよ」 ゼロの目を見つめながらエックスはこう続けた。 「確かに、今回の敵は俺にとって不適切かもしれない。でも、俺はヴィシュヌと約束したんだ! 今ここで帰るわけにはいかないよ」 しばらくの間、二人は動かなかった。だが、その静穏はゼロのため息によって消される。 「ふぅ・・・まったく・・・おまえは一度言い出したら聞かないからな・・・」 その言葉にエックスは微笑み。 「それはお互い様だと思うよ? さあ、先を急ごう」 そして再び走りはじめた。 しばらく走っていると廊下が左右に分かれている場所にたどり着いた。その中心にはおそらく案内用であろう、モニターが設置されている。 「・・・まいったな。ここじゃ、彼女のシグナルもわからないし・・・どっちだと思う?」 「やはり・・・二手に分かれて行くしか・・・」 その時モニターの電源がついた。 「!?」 『――――ザ―――――ザザ―――――ガッ―――――・・・よく来たな・・・』 モニターに映し出されたのは、重装備のレプリロイド。 『私の名は螺旋、ハンターゼロよ、お前は私と戦ってもらう』 いきなりの申し出に、一瞬たじろぐ二人・・・だが・・・ 「・・・唐突だな、悪いが俺はお前と戦うつもりは無い」 きっぱりとそう言うゼロにたいし、螺旋はそれは解っているとでも言うかのように平然とこう言った。 『そうか、ならばハンターエックスの望みは永遠にかなわんぞ』 「? どう言う事?」 『お前達の会話は全て聞いた。あのお方の事を知りたければ私の言う事に従ってもらう』 「・・・お前の言う事が罠で無い保証がどこにある・・・」 『保証なんてものは最初からありえんよ、お前達も危険を承知で乗り込んできたのだろう?』 「一人で行けば彼女に会える・・・?」 「エックス・・・」 「ごめん、ゼロ。でも俺、どうしても知りたいんだ・・・彼女の、本当の気持ちを・・・」 真剣なエックスに、ゼロはお手上げ、とでも言うかのように肩をすくめ・・・ 「ふぅ・・・まったく・・・やっぱりお前は言い出したら聞かないよな・・・・・・いいぜ・・・付き合ってやろうじゃねぇか」 エックスとゼロのやり取りを見て、モニターの人物、螺旋は一瞬だけ微笑んだ。二人にはわからないようなほんの一瞬・・・安堵の微笑を一瞬だけ・・・ 『・・・協力、感謝する・・・ハンターエックスよ、お前はその廊下を右にまっすぐ行け・・・そうすればあのお方のもとにたどり着ける』 「わかった・・・ゼロ、また後で・・・ね・・・」 その言葉を最後にエックスは駆け出した。 「さて、今度は俺の番だな。ここを左に行けば良いんだろ?」 『そうだ。その先のにある大部屋で待っている・・・―――――ブツッ―――――』 そしてモニターの電源が落ちた。ゼロはそのまま先の見えない廊下を駆け出した・・・ |
||