Color Oils

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 Dr.・・・どうかご無事で!!

 廊下を走る彼の頭の中はその事でいっぱいだった。彼女が無事でいる事だけ、その願いだけが彼の心を占領していた・・・・

 だから・・・扉を開けて、彼女の変わり果てた姿を見たときは自分の動力炉が止まってしまうのではないかというほど驚いた。

「Dr!!」

 足が勝手に動いた。頭で考えるより先に、身体が彼女を助ける事を望んだ。

 組織にいたときでも、己の防御力には自信があった。現に、赤い鬼神と恐れられているあのゼロでさえ、彼に傷をつけることが出来なかったのだ・・・だが・・彼女を包むバリアに軽く触れたとたん、

 バシュ!!!

 彼の右半身は吹き飛んだ・・・彼自身、すぐにその状況を理解する事が出来ないでいた。

「あらあらぁ、裏切り者のN−G1(エヌ、ジーワン)じゃないの、馬鹿ねぇ・・・あなたなら、そのバリアがどれほどの威力を持ってるか知ってるでしょう?」

 声のした方を向くと、そこには。

「アン・・・ジュ殿・・・」

「はぁい、ねぇN−G1、今からでも遅くないわよ? 私達の元に戻らない?」

 彼は痛みでもうろうとする頭をなんとか働かせ、こう答えた。

「・・・こと・・・わる・・・・」

 切れ切れだが、はっきりとそう言った彼の返事に、アンジュの顔が険しくなった。

「ほんッとうに馬鹿ね、こっちに来れば、あなたの腕だって元に戻してあげたのに・・・やっぱりこの女のもとがいいって訳?」

「・・・わかって・・・・いるではない・・・・か・・・・・・・わた・・・しは・・・・ド・・・・クタ・・・の・・・・・もと・・・を・・・・離れる・・・・・つもり・・・は・・・・ない・・・・・・」

 その言葉を聞いたとたん、アンジュはわなわなと肩を振るわせ、

「何よ・・・・何よ何よ何よ!!! みんなしてこんな女の方がいいなんて! こんな女より、私の方がずっと優れているじゃない!」

 完全にヒスを起こしていた。こうなると、たいていの女性は手におえなくなる、アンジュも例外ではなかった。

 彼女自身は武器を装備していない、だが組織に入っていたものは必ず何らかの防衛手段を身につけている。

 アンジュはポケットに手を突っ込むと、小さなカプセルのようなものを取り出した。

「ふふ・・・戻らないんなら・・・あなたなんかいらないわ・・・」

 そう言ってそれを投げた。

 ボウッ!

 

 カプセルが地面に落ち、その容器が割れると、それが落ちた場所が一瞬にして火の海になった。

「ふふふ・・・あはははは! あなたもそこのゴミといっしょに燃やしてあげる!!」

 螺旋はその言葉に振りかえった。そこには、焦点のあわない目をしたエックスが壁にもたれるように座っていた。

「んふふふ・・・ほぉ〜ら、もう逃げ場なんて無いわよぉ」

 螺旋はなんとか彼だけでも助けようとその身で炎を防ごうとした。

「ぐぅ・・・・・ぐぁぁぁぁぁ・・・・・・!!」

 断末魔のようなその悲鳴に、アンジュは恍惚とした笑みを浮かべ・・・

「うふふ・・・これでいいわ・・・ゴミは燃やすのが一番よね・・・あら・・・どうやらエネルギーも溜まってきたようね・・・もうすぐ・・・もうすぐあの方が蘇るわ・・・!!」

 そう言うと特殊な器具で、バリアに包まれた彼女を移動させながら奥の部屋へと消えていった。

 

 アンジュがいなくなり、辺りには炎の燃える音だけがしていたが・・・

「がぁ・・・・・ぐ・・・・・ふ・・・・・・うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 バシュ!!!

 螺旋はまだ動く左半身についているミサイルで爆風を起こし辺りの炎を消し去った。

「は・・・・・はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・・・ド・・・クタ・・・・・」

 もう、彼女の姿は見えない・・・







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