Color Oils

Color Oils



 ちくしょう・・・あいつ、どこまで行ったんだ?

 ゼロは廊下を走っていた・・・螺旋を追いかけここまで来たが、途中で見失ってしまったのだ。しかし、先ほどから嫌な予感がしていて、彼は足を止める事が出来なかった。

 しばらく走っていると、螺旋がいた部屋よりも飾り気の少ない扉の前に来た・・・なにやら中が騒がしい様だが、防音効果のせいで、音で中の状況を調べる事は出来なかった。

 中で一体何が?・・・行くしか・・・ないか・・・

 彼は意を決して扉を開けた・・・

「・・・!! エックス!!」

 扉を開けた彼の目に飛び込んできたのは、ぐったりとしている親友の姿・・・すぐに駆け寄り、エックスを抱き起こす。・・・そのとき、エックスをかばう様に立っている存在に気がついた。

「お前は・・・螺旋!?」

 ゼロは息を呑んだ・・・彼の・・螺旋の身体が、肩から半分失われていたのだ・・・まるでなにかに吹き飛ばされたように・・・

「来た・・・か・・・ハンターゼロ・・・よ・・・・・・あ・・・んしん・・しろ・・・ハンタ・・・エックス・・・・は・・・無事だ・・・」

 切れ切れな彼の言葉にゼロは混乱した。

 何があったんだ? こいつがエックスを助けた? 馬鹿な、こいつは敵なんだ・・・そんなはずが・・・

「私は・・・あの方・・・の・・・所・・・へ・・いかね・・・ば・・・なら・・・・・・ぬ・・・・・・・・あと・・は・・・じぶ・・・んで・・・なんと・・・か・・・・・・・しろ・・・・・・・・」

 そう言って部屋の奥へと消えて行った・・・しばらくして、エックスの体が少し動いた。

「う・・・ん・・・」

「・・・! エックス? 大丈夫か?」

 どうやら、彼は気を失っていただけのようだ・・・ほっと、一安心したゼロだったが・・・

「ゼ・・・ロ・・?・・・!! ゼロ! ゼロ!! どうしよう・・・俺・・・俺!!」

 彼はかなり錯乱しているようだ。ゼロの顔を見た瞬間彼は泣き出し、完全に取り乱していた。

 一体ここで何が・・・?

 ゼロはそんなエックスを抱き締め、

「・・・何があったかは知らんが・・・泣きたいなら泣けば良い、我慢するな・・・」

 その言葉にエックスは安心したのか・・・子供の様に泣き出した・・・

 落ちついたエックスの話により、ゼロは大体の状況把握をする事が出来た。

「本当に・・・あの螺旋の身体をふっ飛ばしたのか?」

「うん・・・彼女の身体を包んでるバリアはかなり強力なものらしくて・・・彼女を助けようとバリアに触った螺旋の腕が・・・吹き飛んだんだ・・・」

「・・・信じられん・・・あの装甲をそんな簡単に吹き飛ばすなんて・・・」

「その後・・・なんの話しをしていたのかは分からなかったけど・・・アンジュって呼ばれてた人と、彼が何か話してて・・・それで・・急に彼女が怒りだしたんだ。そしたら彼女、何かの薬品を投げたみたいで、辺りに炎が広がって・・・・・・でも俺、まだ動く事が出来なくて・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「そしたら螺旋が、俺をかばってくれて・・・怪我してるのに・・・俺なんかのこと・・・・・かばって・・・・」

 そこまで言うと、再びエックスの瞳には大粒の涙が溢れ出した。

 普段は他の隊員に心配させまいと気丈に振舞ってはいるが、本当はいつも泣き出したくて仕方ないのだ。例えイレギュラーとはいえ、同じレプリロイドを破壊することは、彼の心に大きな闇を落としていた。そんな彼の心を救っているのはゼロの存在だ。エックスは、彼の前ではありのままの自分を出す事が出来た。他の者には見せる事のなくなった涙さえも・・・

 ゼロはなだめる様にエックスの頭をなでた。エックスも泣いてばかりじゃいけないとでも言うように涙を拭い、話しを続けた。

「ごめんね、また泣いちゃって・・・螺旋が俺をかばってくれたとき、彼は彼女を助けたいって・・・手を貸してくれって言ってたんだ・・・・・・」

 そこまで言うと、エックスはゼロの手を握り、こう言った。

「ゼロ、お願いがあるんだ・・・彼らを攻撃しないでほしい・・・」

 彼のその申し出を聞いて、ゼロは少し考えた・・・今まで、イレギュラーと呼ばれるもの達はすぐに処分してきた彼だったが、今回は流石に彼自身も戸惑っていたのだ。本当にあの者達を処分していいのかと・・・

「ゼロ・・・俺は・・・あの人達を助けたい・・・お願い、力を貸して・・・」

 エックスの握った手の力が少し強くなる。彼は本気だった。心の底から彼女たちを助けたい、そう思っていた・・・ゼロはそんな彼の手を握り返すと、

「だったら、こんな所でのんびり話をしてるわけにもいかないな・・・」

「ゼロ・・・ありがとう!!」

 その言葉にエックスは喜び、礼を言う。

「行くぞ!!」

「うん!」

 そして彼らは部屋の奥へと向かって行った。







prev novel next

女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理