FIRST <前編>



−あれからどのくらいたったのでしょう・・・1週間?1ヶ月?1年?あの人とはついこの間出逢ったばかりのはずなのに・・・・もう、生まれたときからずっと一緒にいたような気がするのはなぜ?・・・−

 

 今日は久々の買い物。新しい服に父に頼まれた機材と夕食の買出しのために、街に出る。

 町は彼の住む家からだいぶ離れていて、何か交通手段を用いなければなかなかたどり着けない。だが、車はついさっき家を出る前に見ていたニュースで、道が渋滞をしていることを知り却下。同じ理由でチェイサーも断念(交通ルールは守らなければならない)。よって、電車での移動ということになるのだが・・・

「やはり・・・多いですね・・・」

 つい呟いてしまうほど、駅のホームには人がごった返しており、電車ぎゅうぎゅうのすし詰め状態。だが、他に方法もなく・・・

「仕方がありません」

 一つため息をついて満員電車に乗り込んだ。

 

 

「・・・さすがに・・・疲れましたね・・・・・」

 ようやく目的の駅に到着し、人に流されるようにホームへと降りる。そのまま改札を通り街中に入ると、まずは父に頼まれた物を・・・と、この街で一番大きなジャンクショップに足を進める。

 

 

「いらっしゃい!」

 店に入ると、元気な声が出迎えてくれた。

「お?アポロじゃねーか!久しぶりだな!!」

 この店の店主は父の友人の一人で、彼のボディの部品もここで購入されている。

「お久しぶりです」

 彼はふわっとした笑顔で答え店主の元へ近づく。

「最近仕事始めたんだってな?どうだ?調子は」

「はい、最近はだいぶなれてきたと思います。先輩方も良くしてくれますし」

「そいつぁ良かったじゃねーか♪これからもがんばんな!」

「はい」

 そしてまたふわりと笑う。

「で、今日は何が必要なんだ?」

「あ、今日は・・・・」

 父から頼まれていた機材を買うと、それを転送機で送ってもらう。普通は転送させるのにも費用がかかるのだが、店の主人は『就職祝いだ』と言って一つの機材と、転送費をおまけしてくれた。正直、父の研究にはお金がかかる。彼も働いてはいるものの、まだそれほど収入を得ているわけではないのでありがたかった。素直にお礼を言って頭を下げる。すると店主は、

「いいっていいって♪」

 と優しく笑ってくれた。

 店を出ると、今度は自分の買い物。前に一度言って、お気に入りになった店を目指し、歩いていた・・・その時・・・・

 

 ドゴォーーーーン!!!!!

 

 不意にした爆発音、すぐ後ろのビルがもうもうと黒煙を出している。

 

 

−あいつに初めて逢ったんからどれくらいの日が過ぎた?1週間?1ヶ月?1年?いやいや、あいつが寝とった頃のを入れるともっと前になるなぁ・・・もしかしてわい、あの頃からあいつしか見てへんかったんやろか?・・・−

 

 

 あ〜もう・・・マジでしくったわぁ・・・まさかこない単純な罠にハマッてまうなんてなぁ・・・

 

 もうもうと立ち上る黒煙の中、彼は心の中で舌打ちをした。

 今回守るよう依頼を受けたクライアントが実は前の任務中に攻撃してきたやつらの生き残りで、この仕事は彼を殺すための作戦といったどこかで聞いたような話の罠にまんまと掛かってしまったのだ。

 

 やっぱり、思考が定まっとらへんなぁ・・・決定的なとこで判断力がにぶっとる・・・

 

 自分の上に乗っている瓦礫を押しのけ、彼はゆっくりと立ち上がる。視界がなんとなく赤いような気がして、顔を触ると手にぬるっとした感覚が・・・その手のひらを見ると、案の定赤黒い液体がべっとりとついている。

 それを手を振ってはらいながら、さて、どうしたものかと考えていると。複数の足音と話し声が近づいてくるのがわかった。

 彼は己のアーマーの色を活かし闇に紛れると気配を完全に消す・・・

「やったかな?」

「油断するな、あのくらいでくたばるとは思えん」

「大丈夫だろ?さっきの不意打ち、完全に決まって・・・」

 

 バシィィ!!!

 

 一瞬、暗闇が光ったかと思うと男の言葉は途中で途切れ、後には黒く焦げたレプリロイドであったと思われる炭が崩れ落ちた。

「・・・・不意打ちってのはこないな風にするんやで・・・・もう教えても意味ないけんどなぁ・・・」

 ククッと喉を鳴らして笑う彼の耳に、また奴等の仲間の声が聞こえてきた。

「・・・今度はこっちから出てってやろかいな・・・喧嘩売る相手間違えたっちゅー事、ちゃぁんと教えたらんとなぁ・・・・」

 そう呟くと、彼は男たちの入ってきた場所から飛び出した。

 

 

 突然の爆発音、その場にいたレプリロイド達は人間を避難させ始めました。もちろん私も例外ではありません・・・そんな中・・・あの人の・・・傷だらけになったあの人の姿を見つけました・・・その瞬間、私の胸が急に苦しくなりました・・・・原因は・・・わかりません・・・

 

 爆発、騒音、悲鳴・・・その様子は酷いものだった、逃げ惑う大人や子供、それを守ろうとするレプリロイド達・・・・その中に彼もいた。逃げる人間達を誘導し、降り注ぐ瓦礫から人間達を守り怪我人を出さないようにしていた。

「化け物か!?」

 そんな時、男の悲痛な叫び声が耳に入ってきた。顔を上げると、おそらくこの惨事を引き起こした者達だろう。武装した集団が何かに攻撃をしながら叫んでいた。

「怯むんじゃねぇ!!向こうはたった一体じゃねぇか!!」

 そう一人が叫んだ瞬間、まばゆい光が辺りを包み、次の瞬間・・・

 

 ドゴォォォン!!!!!

 

 衝撃と地響き、そして、辺りに漂う焦げた臭い。ある程度はなれた場所にいれば、雷が街中に落ちたように見えたはずだ。だが、この現場にいた者は何が起こったかわからなかっただろう。たった一人を除いて・・・

「・・・・インドラ?・・・・」

 彼はその名を呼ぶ。まだで逢ってから間もないのに、まるですべて知っているかのような錯覚に陥ってしまう相手の名を・・・

「どないしたんやぁ?もうお終いかいな・・・」

 立ち上がる煙の中、ゆっくりと姿をあらわした漆黒のアーマーを纏った騎士。

「うっ撃てぇぇ!!!!!」

 頭で考える前に、体が動いていた・・・跳躍し、漆黒の騎士の目の前に降り立つと炎のシールドを発動させる・・・銃弾が当たると、すべて熔け落ちてしまうほど高温なシールドを・・・

 漆黒の騎士が襲われている時点で奴等は彼にとっても敵なのだ・・・

「ア・・アポロ!?なしてお前がこないなとこにおんねん!!」

 騎士の驚いた声が後ろから聞こえる。彼は振り返り、ふわりと微笑むと・・・

「私がここにいるのは全くの偶然です・・・ですが、見知った方が攻撃されているのを黙って見ていられるような性格ではありませんので」

 と言って二人を取り囲むように移動した者達を見据える。

「・・・お前さんも、結構ええ性格してるやん・・・・」

 頭をガシガシと掻きながら言った騎士の言葉は、どこか嬉しそうで、

「ほな、ちぃっとばかり手伝ってもらおか」

 にっと笑って彼の肩に手を掛ける。

「はいっ」

 それに彼も笑顔で答え、二人は背をあわして敵に向き直る・・・・

 

 

 圧倒的。この現場を目撃した者は皆そう思っただろう。

 武装集団に囲まれた二人の青年では、明らかに多勢に無勢だ。

 だが、遠巻きに見ている野次馬達やマスコミの流す映像を見ていた者達の予想を裏切るかのように二人の青年は圧倒的な強さを見せ付けていた。

 元々この騒ぎの原因であろう、アーマーを纏った青年は三叉の槍のような武器を持ち電流を操り目の前の敵を薙ぎ払っている。

 一方、もう一人の青年は、アーマーも、武器も何も装備していない。だが、青年の手からは炎が生み出され、向かってくる敵を次々と灰にしている。

 まさに敵無しと言った状態だ・・・が、その状態は急変した。アーマーを装備していない青年が何かを見つけに敵に背を向け走り出した。彼の向かった先にいたのは・・・人間の子供・・・

 

「アポロ!!」

 青年が子供のもとに辿り着いた、ちょうどその時、騎士が彼の名を叫んだ。と、同時に・・・

 

 ドゴォォォォン!!!

 

 青年は人間の子供に覆いかぶさり己の体を盾にした。だが、攻撃を受けたはずの体がいつまでたっても痛くならない・・・嫌な予感がして恐る恐る振り返ると、そこに・・・

「インドラ!!」

 彼の目に飛び込んできたのは先ほどの爆発を己の体で止めた騎士の背中・・・爆発音や爆風から、かなりのダメージを受けたと思われる彼の体が、ゆっくりと崩れ落ちる・・・

「イン・・・」

「アポロ!はよその子供、安全な場所に連れてかんかい!!」

 膝を付いて、四つん這いの状態になった騎士に駆け寄ろうとした青年だが・・・騎士の言葉に、腕の中で気絶している子供のことを思い出し・・・・

「・・・・すぐ・・・戻ってきますから!!」

 身を翻し、走り出す。

「待ちやがれ!!」

 後ろからの叫び声には振り返らずに走り続ける。振り返っている暇はない、早くこの子を安全な場所へ連れて行かなければと言う思いだけを頭の中で考えるようにしていた・・・

 

「珍しい事もあるもんだ・・・あの『イカズチのガーディアン』がクライアント以外を守るなんてなぁ・・・・」

 青年が走り去った後、膝をついて肩で息をする騎士の胸倉を掴み持ち上げた男が静かに言った。

「ほっとけや・・・どぉせお前らのねらいはわい一人なんやろ?・・・それとも何か?お前らは弱ったわいの首も取ること出来へんのか?」

 まるで嘲るように言った騎士の言葉に胸倉を掴んでいた男の表情が険しくなる。

「・・・・・・」

 無言で、騎士を掴んでいた手を離し・・・

「グッ・・・」

 地面に突っ伏す形となった騎士の頭を踏み付けた。

「・・・調子に乗るな?今のお前を殺す事くらい・・・わけないんだぜ?」

「だったらはよしぃや・・・いつ体力回復するか・・・・わからんよってなぁ!!!」

 

 バリバリバリッ!!! 

 

 騎士が言うと同時に、彼の体から青白い光が放出される。

「ぎゃぁぁぁぁ!!!!」

 彼の周りにいた数体のレプリロイドが炭と化す。騎士は、ゆっくりと腕に力をこめ体を起こし立ち上がる。だが、ふらふらとして今にも倒れそうな状態の彼を再び地面に這い付かせるのは容易な事で・・・

 

 ガッ!!

 

 肩で息をする騎士にリーダー格の男が歩み寄り裏拳で殴り飛ばす。騎士はその衝撃に耐える事が出来ずに倒れこんだ。

「・・・これ以上俺らも仲間を減らすわけにはいかんのでな・・・お前も良くがんばったが・・・ここで死んでもらう」

 リーダー格の男が何か合図をすると。ナイフを持った男が騎士をうつ伏せにし、その頭を掴んで上を向かせる。

「最強のあんたでも・・・首を落とされりゃ生きてはいけねぇよな・・・・」

 薄く微笑を浮かべた男は、騎士の喉にナイフを沿え・・・その手に力をこめた・・・

 

 ブツッ・・・・

 

 喉から熱い液体が噴出す感覚。痛みなどはもう感じなくなっていた・・・だんだんと意識が遠のいていく中。あいつに呼ばれた気がした・・・





中書き

・・・なんかやばいよいろんな意味で(ーー;

人間の子供を助けるシーン、前にも書いた記憶が・・・(爆)

だってこうでもしないと二人とも強すぎて負けそうにないんやもん!!

・・・ってか、武装集団何人おんねん・・・

毎度の事ながらツッコミどころ満載や・・・マジで(死)

えーっと、このころはまだアポロ、誰に対しても敬語なんですよ。

総監に就任する事が決まったとき、敬語のままじゃ迫力(?)に欠けるということで

今のしゃべり方になったと・・・・





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