☆はっぴばすで☆

ハンターベースの廊下。

 

一人の女性が歩いている。

 

ハンターベースには珍しく、レプリロイドではなく、人間の。

 

 

 

 

 

 

 

☆はっぴばすで☆

 

 

 

 

 

 

 

女性が十字路を曲がると、荷物を持った一人の少年と目があう。

 

蒼く長い髪に、漆黒の服。

 

深めに被った帽子のエンブレムが、その人物がだれか、教えていた。

 

「あ、クロードくん」

 

「あ・・・こ、こんにちは」

 

クロード、びっくりしたように挨拶をする。

 

女性は、不思議そうにクロードをみるが、返答はなかった。

 

理由を聞こうと思った女性だったが、クロードに先手を取られた。

 

「ちょ・・・ちょっと急いでいるので失礼しますね!」

 

そういうと、女性の言葉も聞かずに、クロードは走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく女性が歩いていると、今度は二人の少女と一人の少年にあった。

 

銀髪を高い位置で一つに纏めた、青い服を着た少女。

 

そして、紫の髪を左右の高い位置で結い、白い服を着た少女。

 

少年のほうは、金の長髪を無造作に紐で括り、クロードと同様、黒い服に身を包んでいた。

 

「っと、アリスちゃん、リンちゃん、アルゼルくん」

 

「あ、こんにちはー♪」

 

女性の声に、アリスは嬉しそうに応えた。

 

リンは小さくお辞儀をして、アルゼルは軽く睨むと、背を向けて立ち去った。

 

リンも兄の背を追い、アリスもそれを追おうと、女性にゴメンナサイ、と小さく言って走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

また女性が歩きはじめると、再び二人の少女にあった。

 

茶色い髪の、片目にだけ眼鏡をつけた、白衣をまとったキツイ目付きの少女。

 

そして、藍色の髪を短く揃えた、赤い服を着た優しい目つきの少女。

 

「・・・えっと・・・」

 

「・・・僕達と話すのは、初めてだろう? 緋羽 真姫・・・結城 鈴の義妹だよ、よろしく」

 

「マキちゃん、わかりにくいわよ〜・・・あ、あたしは刹・・・夢宮 刹よ。これでも、総監の娘・・・ってことになってるの」

 

よろしくね、と手を出すセツの手を握って、女性は微笑む。

 

マキはセツの服を引っ張ると、耳元でボソボソとなにかいう。

 

それを聞いたセツの顔が青くなる。

 

「お・・・お父様に怒られる〜!!」

 

セツは猛スピードで駆け出す。

 

マキも小さくお辞儀をしてその後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

その後、何度も同じような事が続いた。

 

次にあったエスカに何かを聞こうとしたら、軽くあしらわれてしまった。

 

その次のミリアは、反論したら解剖する、と言わんばかりにメスを持っていたので声をかけれず。

 

ショットの場合は急いでいたのか、話しかける前に走り去ってしまった。

 

女性は、廊下に設置されているベンチの一つに座ると、小さく溜息をついた。

 

何故、自分は避けられているのか。

 

その理由だけを、頭の中で探していた。

 

しかし、理由はまったくでてこない。

 

女性が再び溜息をついたとき、女性の前に影ができる。

 

「おーっす♪」

 

女性が顔を上げると、鈴がニンマリ笑って立っていた。

 

「わるかったな〜、妹・・・マキ達がいろいろやったみたいで」

 

「あ、別に・・・」

 

気にしてない、とは流石に言えなかったのか、言葉に詰まる。

 

それをみて、鈴がククッ、と笑った。

 

「しゃあない、俺の正体みせてやっから、許せ〜♪」

 

女性の表情が不思議そうな物になる。

 

鈴は顔に手をかけると、ペリペリと顔の皮をはがす。

 

一瞬、ビックリして飛びのいた女性は、背中を壁にぶつける。

 

「なーんちゃって、な!」

 

剥がした紙を捨てて、大笑いする鈴。

 

ムッとした女性は、椅子から立ちあがる。

 

「あー・・・そーそー。ちょいきてくんない?」

 

そう言って、鈴は女性の手を引っ張る。

 

(・・・もう1枚、仮面・・・あるんだよな・・・)

 

そんなことを、思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きめな扉の前に立つと、ニシシ、と笑う鈴。

 

隣で女性は不思議そうに首を傾げる。

 

「うっし、いくぞー!」

 

 

 

 

 

鈴の引き抜いた剣が、扉を切り裂く。

 

そして、部屋の中から盛大なクラッカーの音。

 

女性が部屋のなかを覗くと、先ほどあったハンター達がいた。

 

「優煌さん、誕生日、おめでとうございます」

 

「テキトウに誤魔化しちゃって悪かったな」

 

クロードとショットが、女性―優煌の手を引いて部屋のなかにはいる。

 

「おめでとうございます、優煌さん」

 

「おめでとうだよー!」

 

リンとアリスが笑顔を浮かべながら、小さな箱を渡す。

 

その中には、片方ずつ、色の違うイヤリング。

 

そして、リンとアリスが下がり、エスカと、ミティスが前に出る。

 

「優煌さん、俺からです」

 

そういって、紅い薔薇の花束を、エスカが手渡す。

 

「な、このあとさー、俺とどっか・・・」

 

ミティスが笑いながらそこまで言うと、エスカが思いきり頭を殴る。

 

優煌が苦笑していると、マキとセツがとてとてと歩いてくる。

 

「お誕生日、おめでとうございます」

 

「ああ、おめでとう。僕達からはこれだ」

 

そういって、マキが小包を渡す。

 

優煌がそれを開けると、中から黒い物体が。

 

「・・・あ、間違えた。それは姫様に上げる特製スタンガンだった」

 

「ちょっ・・・マキちゃん! なんで!?」

 

「あー・・・シグナスに襲われても大丈夫なように」

 

「お父様そんなことするの!?」

 

「前科持ちだと聞いた」

 

「だれから!?」

 

「兄上」

 

そこまで話して、マキは優煌のほうをむくと、もう一つの物をわたす。

 

「まぁ、コレで手を打ってくれ」

 

そう言って、なにやらディスクを渡す。

 

するとセツを引っ張って、マキは行ってしまった。

 

そして、アルゼルと鈴、ミリアが来る。

 

「俺達が最後かー!」

 

「・・・くだらねぇ・・・」

 

「はいはい、とっととしてー。後つっかえてるからー」

 

鈴、アルゼル、ミリアの順で発言をする。

 

「んじゃ、こんなんでわりぃけど」

 

そういって、すずを渡す鈴。

 

リン、と音を立てて、手のひらに落とす。

 

「アルゼルは用意してねぇみたいでなー、わりー」

 

あはは、と笑いながら言う鈴。

 

チッと舌打ちするアルゼル。

 

最後にミリアが、またもやディスクを渡してくる。

 

「ふふー・・・このディスクはとってもレアだからこころして・・・」

 

そこまで言ったとき。

 

ミリアが吐血した。

 

「!?」

 

「けほけほ・・・あー、また発作だわ・・・んじゃ、医療室いってきます!」

 

ちゃっと手をあげて、颯爽と走り出すミリア。

 

優煌は汗をかきつつそれを見ていた。

 

「ま、とりあえず」

 

ショットが言う。

 

「だね・・・せーの・・・」

 

クロードの、小さな声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハッピーバースデー、優煌さん!』

 

 

<END?>

感想

いつもお世話になっている、月臣京介様のお姉様、月臣京花様から頂きました!

マイバースデープレゼントですよぅ!!・・・アップするの遅くなってごめんなさい(滝汗)

いやいや、まさかこういう形のものをいただけるとは思ってなかったのですが、めちゃくちゃ嬉しかったです!!

皆からのプレゼントはありがたくコレクションにさせていただきます(笑)

本当に有難うございました♪





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