はじめまして

はじめまして



 

『二人とも、ちょっと時間をくれんかの?』

 その日、いつものようにケイン博士に呼ばれ、エックスとゼロの二人は研究室に向かっていた。

 いつもと変わらない、よく晴れた午後のことだった・・・・・・

「失礼します」

 研究室の扉をくぐり、エックスが一礼をする。

「で、用ってのは何なんだ?」

 後から入ってきたゼロはかなり面倒くさそうに言った。

「ゼロ、ケイン博士にその喋り方は駄目だって、前も言っただろ?」

 そんな二人のやり取りを、研究室の奥にいた一人の老人がうれしそうに眺めていた。

「ほっほっほ。良いんじゃよ、エックス。」

「しかし・・・」

「ゼロの話し方は、今に始まったことではないしのう」

「なんだよじいさん、今日はやけに嬉しそうじゃねえか」

「解るかの?」

「バレバレだ・・・」

 この老人・・・もといケイン博士は、レプリロイドの開発者であり、イレギュラーハンター部隊の創立者でもある。博士が二人を呼んだ理由、それは・・・

「二人に会わせたい者がおってのう」

 そう言って、年の割にはしっかりとした足取りで二人を奥へと招く。

「この子は?」

 博士に連れられて入った研究室の奥。隠し扉をくぐった二人が見たのは、カプセルの中で眠る少女タイプのレプリロイドだった。

 髪は若葉色で、ボディは全体的にピンクと白が使われている。何処と無く東洋風ないでたちに、背中には翼がついていて・・・その静かに眠る姿はまるで、天使のようだった。

「ほっほっほ、聞いたら驚くぞい♪」

 博士は楽しそうにして、なかなか少女のことを話さない。

「んだよじいさん、もったいつけんなよ」

 流石にゼロも気になるようだ。

「この子はな、エックス、ゼロ、お前さん達の妹じゃよ・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『・・・・・えぇ!!!!!』

 二人はとても驚き、そろって大きな声をあげていた。

「え? え? え? この子が、俺達の!? っていうか、達ってどう言うことですか!?」

 エックスはかなり混乱しながらも博士に気になることを聞いてきた。

「二人のプログラムを元にこの子は生まれた、と言うわけじゃよ。・・・流石にボディはお前さん達と同じにはできなんだがのう・・・」

 最後のほうは少し残念そうに、だが博士はとても嬉しそうに二人に告げた。

 ゼロはすでに落ち着きを取り戻し、カプセルの中で眠る少女を見つめている。

「俺達の・・・妹・・・ねえ・・・顔は・・・エックス似だな」

 しばらくカプセルを見ていて、彼はある事に気がついた。

「? おい、じいさん。このプレート名前が書いてないぞ?」

 普通カプセルには生年月日(製造年月日)と、そのレプリロイドの名前(名称)が記入されている。だが、今三人の目の前にあるカプセルのプレートには、生年月日は書いてあるものの名前が記入されていなかったのだ。

「ほんとだ・・・博士、どうしてですか?」

 ようやく落ち着きを取り戻したエックスもプレートをのぞき込む。

「実はな、二人をここに呼んだ理由のもう一つがそれなんじゃよ。」

 二人が不思議そうな顔をして博士に向き直る。

「お前さん達に、この子の名前を決めてもらいたいんじゃ」

「・・・俺達が・・・ですか?」

エックスが少し不安そうに博士に聞く。

「嫌かのう?」

「いえ! 嫌じゃないです! ・・・ただ・・・名前を決めるなんて、この子の一生に関わる事だから・・・」

「良いんじゃねえの?」

 黙って話しを聞いていたゼロが、急に口を開いた。

「せっかくじいさんが俺達に付けさせてくれるって言うんだし。それに、一生に関わる事だってんなら誰にも文句を言われないような、最高の名前をつけてやろうぜ・・・な?」

 それから二人は、仕事の合間に少しでも暇な時間があれば少女の名前を考えるようになった。データサンプルやネット、名前を決めるのに必要な要素が少しでもあればそのデータを見るようにして・・・途中ダイナモにからかわれたり、名前決めに熱中しすぎて、エイリアやシグナスに怒られそうになったりもした・・・

 そして、一ヶ月たったある日・・・

 イレギュラーハンターが月に一度開く、全ての隊が集まる集会でシグナスが前に出て話をし終えて、彼の背後に控えていた一団に視線を向けた。

「・・・なお、今日新たに我等の同士となってくれた者達に今挨拶をしてもらうこととする。まずは、第0特殊部隊の者から・・・」

 紹介された新人ハンター達が次々と挨拶をしていく。

「では、次!」

「ハッ!」

 敬礼とともに前に出たのは背中に翼のある少女タイプのレプリロイド・・

「本日より、イレギュラーハンター第7空挺部隊に所属されました。名をマリアと申します・・・」

 少女の挨拶を、厳しいことで有名な第0、第17部隊の両隊長が共に、普段は見せたことの無いような優しい眼差しで見守っていたと言う話は、その日のうちにベース内の噂になっていた。



FIN







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