籠の鳳
「・・・ようやく・・・着いたな・・・」 呟くようにブラフマーが言って見上げた。 「ここに・・・ヴィシュヌさんが・・・・」 つられるようにクロードも・・・彼らの目前には、大きな洋館風の建築物。二人は顔を見合わせ頷くと歩き出した。 すると、屋敷の扉の前に立っていた・・・おそらく警備兵だろう、人型のメカニロイドが警告を始めた。 「ココハ立チ入リ禁止区域デス、速ヤカニ撤退シテ下さサイ。繰リ返シマス。ココハ・・・」 ガシッ! だしぬけにブラフマーがメカニロイドの顔面を掴み・・・ 「んなこたぁわかっとるわいな・・・邪魔するんやったら・・・お前も壊すで?」 その言葉を合図にしたかのように、彼らの周りに沢山のメカニロイドやアニマロイド、レプリロイドが出現した・・・ただ、現れたレプリロイド達はどう見ても己の意志を持っているようには見えなかった・・・つまり・・・ 「・・・わいと師匠の集めた情報その2・・・ここに住んでいたといわれる学者は・・・ウィルス研究の権威やったらしい・・・一回死んだ奴の体を操るのもわけないようなウィルスとかな・・・ってか、こりゃまるっきりゾンビ映画やなぁ」 淡々と言ったブラフマーは、・・・不敵に笑うと掴んでいたメカニロイドを出現した『ゾンビの群れ』へと投げ込んだ。 「うおぉぉぉらぁぁぁ!!!!」 そして懐からナイフを取り出し、投げ飛ばしたメカニロイドの動力炉へ狙いを済まし投げる。 ッカ、ドゴォォォン!! ほんの数秒でその場にいた半数ほどのゾンビをたおしたようにみえた・・・が・・・・ ギシッ・・・・ギ・・・ガシャ・・・ギ・・・・ 「・・・やーッぱり、一筋縄ではいかんってかぁ・・・」 腕や足が千切れた状態のレプリロイド、電子頭脳が剥き出しのアニマロイド、ボディの半分が吹き飛んだメカニロイド。どれを見ても動くはずのないものが動いている・・・ 「どうするんですか?ブラフマーさん・・・」 冷静に状況を見ていたクロードが聞いてくる。 「・・・お前、PSY使えたな?」 「え・・・はい、一応は・・・」 「せやったら・・・・話は簡単や、お前は中に潜入して、ヴィシュヌはんを探し出して救出せぇ」 「!貴方はどうするんですか!?」 「わいはここでやっこさん等ぁの相手をしといたるわい。派手に暴れりゃ、中におる奴らも出てくるやろうしな」 にぃっと笑って事も無げに言うブラフマーにクロードは講義した。 「危険です!僕も!?」 突然目の前に大きな手が出される、クロードは驚いて言葉を飲み込んだ。 「あほ、ここで二人して戦っとっても効率悪いやないか・・・」 そのまま頭をクシャッと撫でると・・・ 「行きや・・・彼女が・・・ヴィシュヌはんが待っとんのは、ほかの誰でもない・・・お前なんや」 クロードはそれを聞くと・・何も言わず・・・ブラフマーに背を向け屋敷へ向かって走り出した・・・そして・・・ バシュン!! クロードの姿が消えた。彼に攻撃をしようとしていたゾンビ達の攻撃が空を切る。 「・・・・それでええ・・・」 周りをゾンビに囲まれたブラフマーは、懐からタバコを取り出しくわえると、慣れた手つきで火をつける。 「・・・・ふぅ〜・・・・さて・・・・男ブラフマー、一世一代の晴れ舞台!遠慮せんとかかって来いやぁ!!」 そして、愛用のダブルセイバーを構えた・・・ ちょうどブラフマーとクロードが屋敷に付いたころ、長い廊下を走る人影・・・ ドゴォォォン!! 「!?・・・何?・・・爆音?」 屋敷から逃げ出すために廊下を走っていたヴィシュヌに軽い振動と爆音が届いた。 「何で?・・・何が・・・・・!?」 急に何かの気配を察知し、すぐそばにあったドアを開け中に逃げ込む。 ザッ・・・・ザッ・・・・ザッ・・・・ザッ・・・・ザッ・・・・ ゆっくりとした足音がドアの前を通り過ぎていく。ヴィシュヌは息を殺してじっとその音が通り過ぎるのを待った。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「・・・・ふぅ・・・・」 足音が完全に消えたことを確認して、彼女はほっと一息つく。 「・・・ここ・・・なんだろう・・・・」 咄嗟に入ってしまった部屋・・・軽く辺りを見回すが、窓には分厚いカーテンが掛けられていて部屋の中は真っ暗になっており何も見えない。 「えっと・・・さっき直線の廊下を走ってきたから・・・・」 頭の中に記録しておいた間取と、今見てきた場所を照らし合わせて現在地を絞り込む・・・ 「・・・結構広いんだ・・・何の部屋だろう・・・」 現在地がわかって何気なく呟く・・・暗闇にも目が慣れ始めた。 「・・・?なんだろう・・・・カプセル?」 闇に慣れた目で、再び辺りを見回すとちょっとしたホールほどの広さがある室内に沢山のカプセルが並べられているのがわかった。その一つに近づいて、中をのぞいてみる・・・ 「!?・・・これは・・・」 カプセルの中にあったのは・・・未成熟の胎児。臍の緒の部分がコードになっていることから、その胎児が人間ではなくレプリロイドだと言う事がわかる。 「なんで・・・こんな・・・」 よく目を凝らすと、この部屋にある全てのカプセルに同じように胎児が入っていた。 「・・・ようこそ・・俺達の生まれた場所へ・・・」 ヴィシュヌの体が強張る。今、自分は何から逃れていたのか、それを思い出す。だが・・・それよりも気になった事が・・・・ 「生まれ・・た?」 彼女が振り返るのとほぼ同じタイミングで照明が付いた。部屋が明るくなったことによって、ヴィシュヌの目がくらむ。 「そう・・・生まれた・・・俺達はレプリロイドだが・・・そうじゃない・・・」 そう言ってゆっくりと近づいてくる男・・・そのとき、ヴィシュヌはほかにも気配があることに気が付いた。しかも、その数は一つ二つではない・・・ここまでか、と覚悟を決めた彼女だったが・・・ 「ねぇ、この人が僕達の『ママ』?」 幼い声が聞こえた、自分の正面には・・・父を傷付け、自分を襲おうとしたあの男・・・だが・・・男の雰囲気が違うような・・・ 「ああ、そうだ・・・この人が俺達の『MOTHER』だ・・・」 何を・・・言ってるの? ヴィシュヌの思考は完全に混乱していた。だが、彼女に考える間も与えず・・・ 「『ママ』だ!!」 「僕達の『ママ』だ!!」 「え?え??ええ〜!?!?」 カプセルの陰から大勢の子供があらわれ、彼女を囲んではしゃいでいる。一見では男の子か女の子かもわからない子供達、どことなくヴィシュヌに似ているような・・・ 困惑する彼女に、あの男がゆっくりと近づき話しかける・・・ 「・・・この子供達はお前の破片から作られた・・・俺も、な・・・」 「へ?」 素っ頓狂な声を上げて男の顔を見る。彼女のすぐ近くで男が話をしていたので、顔を上げた時目の前に男の顔があった。驚いて体が反射的に後ろへさがる。足に子供がひっついているので逃げることが出来なかったのだ・・・だが、おかげで男の雰囲気が違う事の理由がわかった。 表情が違うのだ・・・部屋に閉じ込められていたとき、彼女の前に現れた男の瞳には闇が宿っていたが、今、目の前にいる男の瞳には闇の気配はまったくなかった。 「ねぇ『ママ』抱っこして!」 「あ〜!!ずるいぞ!!」 「早い者勝ちだもん!!」 子供達が自分の周りできゃいきゃいと騒ぎだす、元々子供好きなヴィシュヌは、自然と顔がほころんだ。 「ほらほら、喧嘩しないの」 言い争いをしている子供の頭を優しく撫で、微笑みかける。すると、子供たちも笑顔になり、また彼女に抱きつく。 「・・・ねぇ・・・俺の破片から作られたって、どう言うこと?」 子供の目線に合わせるためにしゃがんで膝をついている彼女は、見上げるようにして男に問うた。男は、少し辛そうな顔をしてこう切り出した・・・ 「その言葉が示すとおりだ・・・俺達は・・お前の欠片から採取したDNAデータを元に培養されているようなもの・・・このカプセルの中の胎児もそうだ・・・」 腕の中では、子供たちが幸せそうに身を摺り寄せてくる。 「・・・この子達も・・・?」 男は無言で頷く。 「君・・・・も?・・・」 また、男は無言で頷き、彼女の前に跪いた。 「何でそんな事・・・」 そう呟いたとき・・・ある事を思い出した・・・セキュリティープログラムとして起動する前の自分は、どういう目的で作られていたのかということを・・・ 「・・・まさか・・・・」 「始めは・・・俺の心の中に優しさなんてものは無かった・・・ただ、下された命令を聞くことと破壊を、殺戮を楽しむ心と・・・お前を求める心だけがインプットされていた・・・・」 それは今までの行動からも容易に想像がついた。 「だが・・・時々バグが発生したように俺の中に『優しさ』が生まれる・・・それが・・・今の俺・・・」 男は彼女の膝にすがるように頬を寄せた・・・ 「はじめは何でこんな感情が生まれてくるのかわからなかった・・・だが・・お前に直接触れて・・・何となくわかったような気がしたんだ・・・」 「・・・・・・・・・」 膝にすがってくる子供のような男・・・ヴィシュヌは男の頭を優しく撫でた。男はうれしそうに目を細める・・・ 「これを・・望んでいた・・・暖かい温もりが欲しかった・・・・・・・・・」 体を起こし、今度は彼女を抱きしめる。優しく、いたわるような抱きしめ方に、初めは驚いていたヴィシュヌも男の背に腕を回し、ぽんぽんっとあやすように背をたたいた。 「本当はこのままお前を逃がしたい・・・でも・・・俺はマスターの命令に背く事は出来ない・・・そう・・・プログラムされているから・・・・・・さぁ、部屋に帰ろう・・・・・」 男の腕にほんの少しだけ力が入る。 「すまない・・・!?うっ・・・・ぐ・・うぁっ」 突然・・・男が苦しみだした、ヴィシュヌは頭を抱えて苦しみだす男を前にして戸惑っていたが・・・ 「『ママ』!!逃げて!早く逃げて!殺されちゃう!!」 先程まで彼女に甘えていた子供達が慌てだす。彼女の腕を引っ張り、出口にまで連れて行こうとする・・・ 「え?・・・でも・・・」 「早く!!あいつが出てきちゃう!!」 「・・・・・・・どこに・・・行くんだ・・・・?」 低い声・・・子供達の表情が恐怖に強張る・・・そして・・・振り向いたヴィシュヌもまた・・・・ 「・・・お前は・・・ここで一生を過ごすんだ・・・何処にも行かせない・・・・」 ヒュバッ!! 空気のすれる音・・・嫌な音・・・あの時と同じ音!! ゴパッ・・・・ 「お前らも邪魔しなきゃもうちょっと長生きできたのになぁ・・・・・」 笑いながら言う男・・・ヴィシュヌの周りにいた子供達が・・・ 「さぁ、部屋に戻ろうぜ・・・・」 「・・・・・に・・・・」 「ん?」 「可哀想に・・・」 「・・・なんだと?・・・」 ヴィシュヌは静かに男に歩みより、彼の頬に手を添えた。その瞳に悲しみを映して・・・ 「君も苦しんでいたんだね・・・・」 男は彼女のそんな様子にたじろいで・・・ 「な・・・何を・・・ぐ・・・あぁっ!!」 再び頭を抱え苦しみだした。 「くそ!・・・くそっ!!お前は引っ込んでいろ!!俺の邪魔をするなぁ!!」 男は狂ったように頭を抱え、叫びだす。 「ヴィシュヌさん!!」 ちょうどその時だった。勢いよく扉が開かれ、眩しい光とともに彼女の名前を呼び、少年が・・・クロードが駆け込んできたのは・・・ 「!?・・・・クロードく・・・」 「・・・・侵入者・・・」 クロードの姿を確認したとき、ヴィシュヌは反射的に彼に駆け寄ろうとした、だが、男の腕がそれを阻止する。 「『あの人』以外の侵入者は・・・破壊する・・・」 静かにそう言った男の顔には、またあの残酷な笑みが浮かんでいた・・・だが、クロードも負けずにその男を睨み・・・ 「僕はイレギュラーハンター第7空挺部隊に所属するクロード・・・お前を・・・イレギュラーとみなし、排除する・・・」 男はヴィシュヌの腕を強く引き下がらせると嫌な笑みを浮かべたまま・・・ 「俺の名はゼウス・・・さぁ、来いよ・・・クロード・・・後はお前だけなんだ・・・・・」 ゆっくりと前進し、クロードとの距離を縮める。 「来いよ・・クロード・・・お前を殺せば・・・ヴィシュヌは俺だけの物になる」 ゼウスはナイフを抜き、構えた。クロードもユニバース・スレイヤーを構える・・・しばらく睨み合っていた二人だが、先にクロードが動いた。 すばやい動きでゼウスの後方に移動し、斬りかかる。だが、その攻撃は見透かされていたかのように容易く受けられ、ゼウスの蹴りがクロードを狙う。クロードはそれを避けるといったん距離をとり、また攻撃を繰り出す。 二人の武器はともにナイフ、距離さえ取ればお互いの攻撃が届くことはない・・・そう思うのが普通だが・・・ 「くあっ!!」 クロードの肩から赤黒い液体が噴出す。距離をとった状態にもかかわらず、ゼウスの攻撃はクロードを傷つけていた。 クロードは跳び、次に来るであろう攻撃を避けた・・・が、 「うわぁぁ!!」 右足に激しい痛みを感じ着地に失敗する。足からも、肩同様に赤黒い液体があふれ出していた。 「・・・これで終わりだ・・・・」 ゼウスがゆっくりと近づいて・・・クロードに攻撃を仕掛けた・・・ ここ・・までか・・・・・ そう思い、ぼんやりとした意識の中でゼウスを見ていたクロードの視界を白いものが遮った・・・ 「もう・・止めてよ・・・・」 ゼウスの攻撃はすんでのところで止まっていた。クロードとゼウスの間に入ったのは・・・ヴィシュヌだ。・・・その両手を・・・翼を大きく広げ、クロードに攻撃が当たらないように己の体を盾にしてゼウスの前に立ちはだかる。 「・・・君も・・・わかってるはずだよ・・・クロード君を殺しても・・・俺は君のものにはならない・・・・」 その姿に、ゼウスは明らかに動揺していた。一番初め、彼が彼女の前に現れたころにこういう状態になったとしても、彼・・・ゼウスは攻撃の手を止めずに、クロードを殺していただろう・・・だが・・・今は・・・ 「もう止めて・・・おねがい・・・もう・・・・このままじゃ・・・君まで壊れちゃうよ・・・」 その言葉にはゼウスはもちろん、クロードも驚いた。彼女は自分達の敵である男の心配までもしているのだ・・ 「・・・何を・・・言って・・・・」 「確かに・・マスターの・・・製作者の命令は・・・俺達レプリロイドにとっては絶対服従かもしれない・・・でも・・だったら何で俺達に『心』なんてものが与えられてるの?俺達は・・・自ら考え、行動するために心があるんじゃないの?・・・もし、マスターが間違った方向を歩もうとしてるなら・・・それを止めるのも俺達の役目じゃないの?・・・君はもうわかってるはずだよ・・・・この戦いが・・・どれほど無意味なことか・・・」 まるで諭すようにそう言う彼女の言葉を、黙って聴いていたゼウスだが・・・ 「確かに・・・そうかもしれない・・・でも・・・俺にはもう・・・」 ・・・ゼウスが何かを言って攻撃を仕掛けると、クロードはヴィシュヌを押しのけ、その背に真紅の翼を広げ、光の剣を発動させた・・・ 「・・・・クロード君・・・」 「・・・・・だ・・・大丈夫です・・・僕は・・・大丈夫・・・・」 膝を付き、肩で息をするクロードにヴィシュヌが駆け寄る。心配そうに見つめる彼女に、彼は精一杯の笑顔で大丈夫だと答えたが、そのままクロードの体から力が抜け、倒れてしまった。 「クロード君!?」 彼の体を支え、名前を呼んで体を揺さぶる。一瞬、最悪の事態が頭をよぎったが、規則正しい呼吸音が聞こえ、安心する。 バチバチッ 後方から電気の走る音が聞こえ振り向く。彼女の目に飛び込んできたのは、ボロボロになりながらも、確実にこちらに向かってきているゼウスの姿・・・ 「ゼウス・・・・」 ゆっくり・・・ゆっくりと近づいて来るゼウス。ヴィシュヌはクロードを抱きしめ後ずさった。 「も・・やめてよ・・・お願いだから・・・・やめっ!!・・・・・」 左の頬に手を当てられ、身体が強張る。そして、ゼウスの手が彼女の首へ・・・・ バキンッ 何かが割れるような金属音の後、彼女を戒めていた首と手足、そして翼に付いていた拘束具が外れ、床に落ちた。 「・・・え?・・・・・・・どうし・・て?・・・・」 不思議そうに自分を見上げる彼女の頬を、優しく撫でるとゼウスは機械的な音の声でこう言った。 「行ケ、オ前ハモウ自由ダ・・・・スマナカッタナ・・・・・」 ゼウスの変貌ぶりに、ヴィシュヌは混乱を隠せなかった。それが思い切り表情に出ていたため、ゼウスは苦笑して言葉を続けた・・・ 「サッキモ言ッテイタダロウ?本当ハ、オ前ヲココカラ逃ガシタカッタ・・・・ダガ、俺ハますたーノ命令ニ背ク事ハ出来ナイ・・・・タダ・・・・ますたーガ俺ヲ要ラナイト判断スレバ・・・・」 俺 ハ 処 分 サ レ ル カ ラ ・ ・ ・ そう言うと同時に・・・ゼウスはゆっくりとヴィシュヌから離れる。 キュボッ! 突然奇妙な摩擦音が起こり・・・ゼウスのボディが炎に包まれた。 「ゼウス!?」 「ジャアナ・・・オ前ガ俺ノ腕ノ中ニイタトキ・・・本・・・当ニ・・・嬉・・・シカッ・・・・タ・・・ゼ・・・・・・・・・・」 最後の言葉は、音になっていなかった・・・ゆっくりと口を動かし、微笑んだゼウスは・・・その場に崩れ落ちた・・・彼が動き出すことは、もうないだろう・・・ 音にならなかったゼウスの言葉、だが、彼女の耳にはちゃんと届いていた・・・クロードを抱く腕に、少しだけ力が入る。涙の流れない瞳を悲しみの色に染まる。 動かなくなったゼウスに、ヴィシュヌは優しくこう言った・・・ 「安らかにおやすみなさい・・・・ゼウス・・・・俺の・・・・・・」 To Be Continued |
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