かくれんぼ
「エックス、少しいいですか?」 「あ、ライフセイバーか、どうしたんだい?」 「マリアのことで、気になる事があるのですが・・・」 「マリアの事?」 「ええ、最近、あの子の行動で何か・・・変わったところは無いですか?」 「変わったとこ? ・・・そういえば・・・休暇をもらうと必ず何処かに出かけているみたいなんだ。何処に行ってるのか、聞いても教えてくれないし・・・」 「そうですか・・・」 「それがどうかした?」 「実は・・・・・・・・・・」
「もーいーかい!」 「もーいーよ!」 初めてウィーちゃんに会ってから、もう2ヶ月が過ぎた。ぼくはハンターの仕事が無い日は必ずこの森に来て、ウィーちゃんとかくれんぼをしたり、いろんなお話しをしたりして遊んでた。 「よーっしがんばって探すぞ♪」 今日はいつもより早く来ちゃったけど、ウィーちゃん、ちゃんと返事してくれたVv 森って結構面白いんだよね。いつも空ばっかり飛んで移動してたから森の中って今まで歩いたこと無かったんだ・・・もったいなかったかな? そんな事を考えながらウィーちゃんを探していたせいで・・・なんかかなり森の奥まで来ちゃったみたい・・・おかしいな・・・なんだか森の様子がさっきと違う・・・それに・・・この臭い・・・凄く・・・嫌な感じ・・・ ぼくは臭いのする方に向かって歩き出した・・・そしたら、だんだん臭いだがハッキリしてきて・・・これは・・・オイルの臭い!! それに混じって、血の臭いもする!? その事に気づいたとき、茂みの向こうから話し声が聞こえた・・・ 「なあ、ちょっとやりすぎたかなぁ?」 「別にどうってこと無いだろ、どうせこいつらレギュラーなんだしよぉ、ま、俺達にはどっちも関係ねェけどな」 「だよな、ちょうど普通の動物狩るのも飽きてきたころだし・・・ちったぁ骨のある相手じゃねえとつまんねぇもんなぁ」 話をしていたのは二人の飛行タイプのレプリロイド・・・おそらくスピード重視とパワー重視の二人・・・笑ってる? ・・・何!? あいつら!! 足元にはいくつものメカニロイドの残骸と・・・動物の・・・死・・・ ぐっ!! ぼくは慌てて口をふさいだ・・・気持ち悪い・・・頭が痛い・・・あの時と・・・同じ臭い・・・ううん、それよりもっと酷い・・・あいつらは・・・殺すことを楽しんでる!? そう思った瞬間、ぼくは茂みから出て、二人のレプリロイドの前に出た。2対1じゃ勝ち目は無い、そんな事は解ってる・・・でも、許せなかった・・・ 「んん?」 二人は特に驚きもせず、嫌な笑いを浮かべた。そしてパワータイプが口を開いた。 「何か用かい? お嬢ちゃん?」 「ひゃは♪ いけないなぁ、女の子がこんな所で何をしてるんだ〜い?」 こっちはスピードタイプの方だ・・・怖い・・・この二人、言ってることは普通だけど・・・ 「あ・・・貴方達のこそ、一体ここで何をしているのです!?ここは、一般の方は立ち入り禁止のはずですが!・・・」 「威勢がいいねェ、でも、足が震えてるぜ? お嬢ちゃん、俺達は・・・そう、ハンターさ、イレギュラーの退治をしてる・・・正義の味方だよ?」 パワータイプの方が言った。見え透いた嘘を! 一体何をたくらんでるんだ!? 「貴方達がハンターだと言うのなら・・・所属部隊と、隊長の名前を言っていただきましょう・・・」 こいつらが本当にハンターなら、そのくらいは言えるはず・・・でも、一般のレプリロイドがそんな事を知るはずも無い・・・思ったとうり二人はなにも言えずにいた。 「そう言う君こそ何者なんだい? 場合によっちゃあ、お兄さん達と遊んでもらうことになるかもねェ」 また笑った、こいつらの笑い方・・・嫌い!! ぼくは薙刀を構え・・・ 「私は、イレギュラーハンター第7空挺部隊に所属しているマリアと言います!! 貴方達をイレギュラーとして・・・倒します!!」
「おっかしいーなぁ・・・マリア、どこまで行ったんだろう・・・」 マリアがこの森に入って、『もういーかい!』って言ってからもうかなりの時間が経った気がする・・・いつもならすぐ見つけてくれるのに・・・変だ! 絶対変だ!! っよし探しに行こう!
「はぁぁぁぁぁ!!!」 ぼくはパワータイプの方にに斬りかかった!! ガシュ!! 「クッ!」 ぼくの攻撃は相手の肩のパーツを飛ばし、腕に多少のダメージをあたえられたみたい・・・ 「ひゃは、やる〜♪じゃあ、これはど〜だ〜?」 スピードタイプが上空から急降下で体当たりを仕掛けてきた、ぼくはそれをかわして・・・ 「雷刃っ!!」
バリバリバリ!! 「ぐあぁぁぁ!!」 ゼロ兄ちゃんに教わった技、実戦で使うのは初めてだけど、かなりのダメージを与えたみたいだ! よしっこの調子で行けば・・・ 急に後ろに殺気を感じぼくは前に飛んだ! バゴッ!! さっきまでぼくが立っていた所はえぐられ、へこんでいた。パワータイプの方だ!! やっぱりあの程度のダメージじゃ駄目か・・・ 「ひゃっはぁ♪・・・楽しいよぉ、お嬢ちゃん・・・お前みたいな子供がこんなに強いなんてさぁ〜・・・もっと遊ぼうぜェ!!」 スピードタイプが起きあがりながら言った・・・この人達、やっぱりおかしいよ!! 気持ち悪い・・・はやく・・・倒さなきゃ・・・!! 「生憎、私は貴方がたと遊んでいる暇はありません・・・二人一度に来てください・・・」 「おや、生意気言うじゃん? どうしよっかな〜♪」 二人一度に・・・そうすれば・・・ 「行ってやろうぜェそれも楽しそうだしさァ・・・ひゃは♪」 それを合図に二人はぼくに突進してきた、・・・かかった!! ぼくは翼を大きく広げパワー出力を最大にして・・・ 「ノヴァ・ウィング!!」
ドガガガガガガッ!! エックス兄ちゃんがアルティメットアーマーを装備したときに使う技・・・『ノヴァ・ストライク』それとよく似たこの攻撃は、兄ちゃんほどの威力は無いけど今の二人には十分効いたはず・・・ パチパチパチ・・・ 「いやースゴイスゴイ♪ 俺達とここまで戦える奴なんて、そういないんだよ?」 そんな・・・ 「ひゃっはぁ♪ お前、良いよ・・・凄く良い・・・さっきの攻撃なんかマジで俺、イキそうだったもんなぁ」 なんで・・・ 「そうだなぁ・・・俺達じゃなかったら、死んでたかもなぁ」 何で平然として立ってるの!? 「おれ達さぁ痛みって感じないんだ・・・だからいくらでも戦えるんだ・・・さっきまでのお芝居、気に入ってくれたかな?」
何だろう・・・マリア以外にあと・・・ふた・・つ? レプリロイドの反応がある・・・あれ? 動きが変? 戦ってる?! 大変だ!! 急がなきゃ!!
バキッ!! 「クゥッ!!」 「ほらほらぁ、さっきの威勢はどうしたのかなぁ? そんな動きじゃ、俺たちは倒せないヨぉ」 いけない!! このままじゃほんとに・・・とにかく、いったん距離をとっ・・・ 「どこ行くんだぁ? もっと遊ぼうぜェ!!」 ドガァッ!! 方向を変えようとした瞬間、ぼくは地面にたたきつけられた・・・ 「グッ・・・ゲホッ!」 全身にものすごい衝撃を受け、ぼくは一瞬息が出来なくて・・・ 「いま、逃げようとした? せっかく遊んでるんだからさあ、もっと楽しもうぜぇ・・・」 そう言って一人がぼくの翼をつかんだ・・・ 「形成逆転ってヤツ?・・・それにしても、可愛い翼だねェ・・・ピンク色で・・・女の子らしいって感じがする・・・」 「ひゃははは♪ 俺達みたいにごつくないもんなァ・・・なぁ・・・その翼・・・俺達にくれよぉ〜・・・」 何・・・言ってるの・・・? こいつら・・・!! まさか!? ・・・そう思った瞬間、翼を持っていたレプリロイドの手に力が入り・・・ 「キミはどんな声で鳴くんだい!? やっぱり小鳥みたいに可愛い声で鳴いてくれるのかなぁ!?」 メキッ!! メキメキメキッ!! 「!!!ああああああああああああっ!!!!!!」 痛い!! イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイィィ!!! 翼!!! ぼくの翼がぁ!!! 「ひゃーーーーーっはははは!!!良いぞ、もっとぉ、もっと鳴けよぉ!!!」 「いやああああああああああああああっ!!!!」
何だろう、今までこんな事なかったのに!! どうして『みんな』が壊されてるの!? おかしい!! マリア、どうか無事でいて・・・!!
「おーい、死んじゃったのかなぁ? ・・・なんだ・・・気絶してるだけか・・・」 「ひゃはは♪ ハンターも意外とたいした事無かったなぁ〜。ひゃは♪」 ・・・俺は・・・何を見ているんだろう・・・? 2体のレプリロイドと・・・その・・・足元に・・・・!! 「マリアァ!!」 マリアが! マリアが!! 早く助けないと、マリアが死んじゃう!! 「何だ? ハンターの次はゼロウィルス? 物凄い所だなぁ、ここ・・・」 「ひゃはぁ♪ まぁ〜、俺等はウィルスなんか怖くね〜けどさぁ〜・・・」 こいつら・・・こいつらが・・・マリアを!! 「お前ら!! マリアの翼! どうする気だ!!?」 「んん〜? ああ、これ? 別にどうする気も無ぇよ、ただ面白そうだからちぎっただけだし・・なぁ?」 そう言うと、手に持っていた翼を放り投げた・・・ 「そうそう、思ったより良い声で鳴いてくれたしなぁ・・・こいつ・・死ぬときはどんな声出すん・・・」
ガスッ!! ・・・言い終わる前に俺はそいつを殴った・・・どうやらこいつ等もウィルスガードっていうのを装備しているらしくて・・・直接・・・殴る事が出来るんだ!! 俺はもう一体も蹴り飛ばした・・・こいつ等がマリアの近くにいること自体が許せない!! 「何すんのかなァ・・・ウィルスのくせに・・・」 ムカツク・・・こいつら・・・凄くムカツク・・・ 「俺達・・・実はウィルスバスターも持ってたりするんだよねェ」 「それがどうした・・・」 殺す・・・殺す殺す殺す殺す!! 「お前なんかこの一撃で消滅だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 レプリロイドの一体がバスターを撃った・・・だが・・・俺には届かない・・・だって・・・ここにいるイレギュラー達が俺を守るから・・・ 『なっ!?』 流石に2体とも驚いてるね・・・いまの俺は・・・手加減する気が無いから・・・持っている能力をフルに使うよ・・・この・・・イレギュラー達を使ってね・・・ 「なっ、なんなんだ!? こいつら!!どッから出てきやがった!?」 「さっきまで何もいなかったよな!?」 ・・・変なの、こいつ等怖がってる? 「驚くことはないよ・・・ここは俺のテリトリー・・・ここに入った者は普通みーんな、イレギュラーになっちゃうんだよ・・・ま、お前等みたいな奴は仲間にしたくないけどさ・・・だってお前等・・・ここにいる仲間を殺したでしょ・・・マリアが来てからずっと大人しくしてたのに・・・みんな怒ってるよ・・・お前等を殺さなきゃ収まらないくらいにね・・・」 せっかく・・・友達が出来たから俺も大人しくしようと思ってたのにさ・・・でも、マリアが気絶してて良かったかも・・・こんなの見たら・・・嫌いになるよね・・・俺のこと・・・ 「お前等ムカツクから・・・俺が直接殺してあげるよ・・・おいで・・・メタルウィング」 俺が呼んだのは鳥型のメカニロイド・・・手にとまったメタルウィングの形がどんどん変わっっていく・・・翼の部分が鋭い爪になり俺の拳を包んだ・・・ちょうど、タイガークローみたいな感じ・・・ 「な、なあ、落ち着いて話しをしよう・・・な? ・・・」 1体のレプリロイドが言った・・・ 「死んじゃえ・・・」
ザク!! あっけなく1体目は倒れた・・・いまの攻撃、動力炉まで達してたみたい・・・ 「次はお前・・・」 すると・・・そいつは、悪あがきかな?・・・急に背中を向けて走り出した・・・たいして気にしなかったけど・・・その先には・・・!! しまった!! 「マリアァ!!」 「ひゃーははははは!! こいつがどうなっても良いーのかよー!!」 そいつはこともあろうにマリアの髪をつかんで喉にバスターの銃口を突きつけた。 「そこから一歩も動くなよ〜・・・動いたらこいつの顔、跡形も無く吹っ飛ぶぜ〜ひゃは、ひゃーははは!!!」 こういう奴をクズって言うんだね、きっと・・・俺は一歩踏み出した・・・ 「!? おい!!こいつがどうなっても・・・」 「その前にあんたが死ぬさ・・・」 ザッ!! 「!!」 俺は2歩目でレプリロイドの前まで行って・・・ ガシッ!! こいつの頭を鷲掴みにした・・・ 「あんたはさっきの奴みたいに簡単に殺さない・・・ゆっくりと苦しんで死んでいきなよ・・・」 俺は手に少しずつ力を込めていった・・・ ギシッ!! ギシギシギシ!! 「ガッ!!グワァ!!」 こいつが苦しんでいるのは、頭を掴まれているからじゃない・・・俺が送り込んでいるプログラム・・・自ら痛みを感じながら全てを破壊するプログラムを流し込んだからだ・・・ 「痛い? 苦しい? でもね、お前はもっと酷いことをマリアにしたんだ・・・お前も飛行タイプならわかるだろ? 空を飛ぶ者にとって、翼がどれほど大切か・・・」 「ギ! ヒィ!!」 俺はさらにウィルスを流し込む・・・苦しめ!! もっと!! 「たぁ、・・・・たすけぇぇぇ・・・・!!!」 「そろそろ死ね、お前の声は耳障りなんだ・・・」 ボシュ!! レプリロイドの頭が俺の手の中で破裂した・・・汚い・・・・・・・ |
||