史上最強彼女宣言



 今回の任務はある研究施設をジャックしたイレギュラー達の殲滅・・・すでに、数人の研究員が殺害されているらしい。

 俺達第0特殊部隊がいるのは研究所から数キロ離れたビルの屋上。今しているのは今回のミッションの最終ミーティング中だ。

「今回もいつもどおりだ。俺とウィルドが囮になり、お前達は生存者の救出。怪我人がいる場合は応急処置を忘れるな・・・・全員、配置につけ!!」

「御意!」

 ゼロの合図で第0特殊部隊のメンバーがそれぞれの配置につく、ウィルドの配置は・・・ゼロの隣だ。

「研究所つってもここはかなりの高層ビルだ。入ってきた情報によるとイレギュラーどももわんさかいるって話だぜ・・・」

 俺は黙って話を聞いていた・・・・イレギュラーの殲滅・・・ちょうど良いや・・・ほんとに・・・

隊長、全隊員移動完了いたしました

「おーし・・・行くぜウィルド・・・・大暴れだ!!」

 その声を合図に俺と隊長はビルから飛び降り、壁を駆ける。そのままの勢いで研究所の入り口まで走りぬけ、まずは見張りのイレギュラーを排除。しばらくの間は1階で次々と現れるイレギュラー達を倒して行く。敵の数が少なくなってきたら上へ、それをしばらく繰り返しているとホーネック副隊長から通信が入ってきた。

 

隊長、救出作業終了いたしました

「そうか、よくやった」

ですが・・・

「どうした?」

救助した方々がまだ人数が足りないと・・・

「なに?ちゃんと確かめたんだろうな!」

もちろんですよ!全ての部屋の隅々まで探しました!!

「・・・・わかった。俺とウィルドで手分けして探す、お前等はその研究員達を早く安全なところへ連れて行け!」

了解!!

 

「・・・聞いていたな?」

 インカムに当てていた手を放すと、隊長が俺にそう言ってきた。

「はい」

「俺はこのまま上を探す。お前は下に戻り、怪しい場所がないかもう1度調べてこい、人間を見かけたらすぐに連絡をする事、いいな!」

「了解!!」

 俺は敬礼をしてすぐに下へ向かった・・・・・

 

 

 隊長と別れてから、幾つかの階をくまなく調べた・・・けど、ホーネック副隊長が言っていたように人なんて一人もいやしない。

「ここにもいない・・・か・・・・」

 俺は次の階に移る為に階段へ向かった。ちょうど階段にさしかかって、降りようとした時・・・

「ねぇキミ、イレギュラーハンターでしょ?」

 何処からともなく聞こえた女の子の声、俺は咄嗟に構えて辺りを探った・・・すると・・・

「どこ見てるの?ここだよここ!キミの足元」

 言われるまま視線を落とす・・・・・・・あれ?これと同じ事・・・どこかで・・・・・・っと、今はそんな事考えてる場合じゃないや。視線を落し、階段の下のほうを見ると・・・そこにいたのは・・・

「ねぇ、大変なんだ!!僕の恩人の人達が捕まってるんだ!!手を貸してよ!!」

 ウサギのような耳を頭につけた女の子がそう叫んでいた・・・・

 

 

「で、地下には隠し通路があって、その奥にハッチがあるんだね?」

 女の子の話によると、この研究所には緊急避難用のハッチがあると言う事がわかった。資料にも記入していないらしく、そのハッチの存在を知っているのは内部の者だけらしい。

「そうなんだ、で、そこに研究員の人達が閉じ込められてる・・・僕は見てのとうり戦闘能力が高いわけじゃないから・・・・」

 まただ・・・何なんだろうこの感じ・・・・・・・

「・・・だから・・・?ねえ、聞いてる?」

「あ・・・う、うん聞いてる、大丈夫・・・早い話がそのハッチに捕まってる人達を助け出せばいいんでしょ?楽勝だよ」

 この女の子のフットパーツのにはローラーがついてるみたい。俺のスピードに・・・辛うじてだけどついて来てる・・・

「・・・・君・・・強いの?」

「まぁ・・・それなりだと思うけど・・・それに隊長もこっちに向かってきてくれてるし、大丈夫さ!!」

 

 そして俺達はハッチのすぐ傍に到着した。

「どう?楽勝?」

「ん〜・・・イレギュラーの正確な人数が把握できればもっと楽なんだけど・・・・捕まってる人も怪我しないですむように出来るし・・・」

「・・・人数か・・・・ちょっと待ってて」

 そう言うと彼女は近くにあった何かの操作用モニターを触り始めた。

「・・・・何してるの?」

「まぁ見ててよ♪」

しばらく名にかを調べてた彼女は、急に俺の髪を引っ張って・・・

「ねぇ、イレギュラーの数は5。ハッチの中にはイレギュラーはいないよ、前に見張りみたいにして立ってる奴等だけ」

「・・りょぉかい・・・・それだけしかいないなら隊長を待つまでもないね・・・・」

 あれ?何で俺、この子の言う事こんなに簡単に信じてるんだろ・・・・ま・・・いっか・・・俺は彼女を下がらせると、5体のイレギュラーを一気に切り倒した・・・・

 

 

「・・・すっご・・・まさに一閃!って感じだね♪カッコイイ♪」

「あ・・・ありがと・・・・」

 女の子にカッコイイなんて言われると・・・やっぱり照れるや・・・

「早く、中の人達を助けてあげよ」

「うん、ちょっとまってね・・・・・・・・」

 そして今度はハッチの開閉パネルを操作し始めた。

 

 ピピピ・・・ピーーーーーーガショガション!!

 

「よし!」

 大きな音と共に扉が開き、中から捕まっていた人達が出てきた。

「澪!!」

「博士♪」

 彼女は名前を呼ばれたらしく、嬉しそうにその人物に抱きついた・・・・え?今・・・『みお』って・・・・・・

「有り難う・・君のおかげで助かったよ・・・・」

「あ・・・いえ、安心するのはまだ早いですよ、ここから脱出しないと・・・もしかしたらまだ何処かにイレギュラーが隠れているかもしれませんから・・・」

 そして、この場所から出ようとした時・・・・

 

 キュィン・・・

 

「あ・・・・」

 俺達の前に一体のレイビットが現れた。

「あ、どこ行ってたんだよ?心配した・・・」

「!?ダメだ!!

 彼女がそのレイビットに近づこうとしたけど・・・すでにそれはイレギュラー化していて・・・

「え?・・・」

 俺は咄嗟に彼女を突き飛ばし、変わりにレイビットの放った電撃を直に食らってしまった。

「うわっ!」

ぐぁぁ!!

 くそっからだが痺れて力が出ない・・・まさか・・・こんな小さいのにやられるなんて・・・レイビットはもう1度俺に電撃を浴びせるためにチャージをはじめた・・・・次食らったら・・マジでヤバイかも・・・

 

 キュイン!!・・・・・・ボンっ!!

 

 金属のすれる音に爆発音一瞬何が起こったのかわからなかったけど・・・

「何やってんだウィルド!!あれほど先走った行動はするなって言ってるだろうが!!」

「・・・た・・・たいちょぉ・・・・」

 ゼロ隊長が来てくれた・・・・・隊長は俺に肩を貸してくれて立たせてくれる・・・ああ・・・嬉しいけど・・・情けない・・・・

「・・・ここにいるので、全員か?」

 隊長の問いに研究員の人達は頷く。

「良し、ここの内部のイレギュラーは排除終了した。あんた達は1度ハンターベースに来てもらう、怪我人の治療もかねてな・・・・では、俺に付いて来てくれ」

 そして、俺達はベースに帰った・・・結構疲れたけど・・一応、任務完了、だね。

 

 

 

 

「いて・・いてててて」

「もう、我慢してよ、男の子でしょ!!」

「だって痛いもんは痛いんだもん・・・・」

「情けないなぁ・・もう・・・・」

 ベースに戻った俺は、アリスに治療をしてもらってるんだけど・・・・

「うわ!!アリス!!そこ痛いってぇ!!」

 もうちょっと・・・優しくして欲しい・・・・・・・・・って言うか・・最近俺・・・・もしかして愛されてない!?って・・・思うようになっちゃってるんですけど・・・・アリス・・・多分気付いてないだろうな・・・いつも火澄とばっかり遊びに行くし・・・・俺、どうしたらいいのかわかんないよ・・・

 そんな事を考えてると・・また顔に出ちゃったのかな・・・アリスが心配そうな顔をして除き込んできた。

「どうしたの、ウィル君?もう治療終わったよ?」

「あ・・・う、うん。何でもないよ。ありがと・・・」

 何となく、彼女を抱き締め頭を撫でる・・・

「ウィル君?」

「すこしだけ・・・なんか・・・落ちつくから・・・」

 アリスに触れてると気分が落ち着く・・・なんでだろ?しばらくの間そうしてたんだけど・・・・急に誰かだドアを開けた。

「あ、こんなとこにいたんだ♪」

 この声は・・・

「キミのこと、ずーっと探してたんだよ?」

 さっきのウサギの耳を付けた女の子・・・

「え?・・・俺?」

 俺はわけがわからずに聞き返す。

「そ♪・・・逢いたかった・・・『ごーくん』」

 俺は『ごーくん』と呼ばれた事に驚いて立ちあがる。彼女はそんな俺に抱き付いてきた・・・・

「ずっと・・・ずっとこうしたかった・・・キミに思いきり抱きつきたかった・・・ようやく・・夢がかなった!!」

「・・・な・・・どういう・・・・・」

「まだ・・・わからない?」

 おどおどする俺を見て、彼女が悲しそうに言う・・・隣りにいるアリスの視線が物凄く痛い・・・

「みおだよ・・・Leibit Tipe[MIO]・・・・・」

「!?・・・・みーく・・ん?」

「そう!!やっと・・思い出してくれたんだね・・・ごーくん」

 そしてまた彼女・・・みーくんは俺に抱きついた・・・アリスの視線がさらに痛い!

「あ・・あのさ・・・なんで・・・えっと・・・あーーー!!もう!!何から聞いていいのか・・その・・・」

「クス・・・なんでも聞いてよ・・・何でも答えるから・・・・・今まで離れてた分を取り戻すんだ・・・でも、その前に・・・」

 みーくんの視線がアリスに向けられる。それに気付いて彼女は治療道具を荒っぽく片付けると・・・

「邪魔者はいなくなります・・・じゃあね、ウィルドさん!!」

「え、あ、ちょっと、アリス!?」

 

 バン!!

 

 力いっぱいドアを閉めて・・彼女はいってしまった・・・・・マズイ・・・非常にマズイよ・・これは・・・

「あの子・・・ごーくんの彼女?」

「あ・・・・うん」

「ふぅん・・・・ブスだね・・・・・」

「え?今何て言ったの・・・・?」

「ううん、何でもないよ・・・さぁ、ゆっくり話そうよ今の君のこと・・沢山教えて・・・・」

「え・・でも・・・」

「ちょうどいいや・・・ごーくん・・・・」

「・・・何?」

「僕は・・・君が好きだよ・・・あの時から・・・ずっと・・君だけが好きだよ・・・」

 そう言って・・・・・みーくんの唇が・・・・

 

 

 

 もう俺、どうしていいかわかんないよ・・・

 

 ねぇアリス・・・君は本当に俺のこと好きなの?

 

 アリス・・・・俺・・・このままじゃ・・・・

 

 

 

「僕がごーくん取っちゃうよ・・・ア・リ・ス・ちゃん♪」







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