マリア
ぼく達は今、戦艦の中にいる。隊長はここで戦死した・・・ あのあとシグナス総監からイレギュラー討伐の指令を受けたぼく達、第7空挺部隊は敵の戦艦に乗り込み、何とか戻って来れた先輩達のデータから割り出された安全なルートをたどっているところ。先輩達は、中心部までは行ったけどそこから先は隊長が来るなって言ったらしいんだ。先輩達はもちろん抗議したみたいだけど・・・隊長命令だって言われて、戻ったらしい。そのあと、隊長のシグナルが消えた・・・・・・ 「・・・ん・・・ア・・ちゃ・・マリアちゃん!」 「!!」 急に呼ばれて顔を上げたら、クロスさんが心配そうに見てた・・・ 「大丈夫かい? 顔色悪いけど・・・」 「あ・・・すみませんでした、私は・・・大丈夫です・・・」 いけない、今は敵地の真っ只中なんだ・・・気を引き締めなきゃ・・・そう思ってたとき、前を歩いていたクロスさんが急に立ち止まった。 今回のミッションはぼく達がまだ新人ということもあって、二人で行動している。 「おかしいな・・・」 クロスさんはさっきからナビを見てつぶやいてる・・・どうしたんだろ? 「何か・・・あったのですか?」 嫌な予感がした・・・でも・・・まさか・・・・ 「他のメンバーのシグナルが・・・消えた・・・しかも、消え方が変なんだ・・・みんな中心部に入ったとたん消えちまう・・・普通、シグナルはそいつが真っ二つにされたとしても、しばらくは点滅してるもんだろ? それが・・・いきなり消えるなんて・・・」 「急ぎましょう!! そこに必ず何かがあるはずなんです!! これ以上被害が広がる前に、早く!!」 まさか・・・みんなもう・・・ううん!!そんなはずあるもんか!!ただナビが壊れてただけ!!きっとそう!! ぼくとクロスさんは走った、力いっぱい・・・中心部にむかって・・・
中心部には大きな扉があった、細かく装飾されて、きれいだけど、すごく嫌な感じ・・・なんでそう感じたのか、よく解らないけど・・・なんか・・・ヤダ・・・ 「じゃあ・・・あけるよ・・・」 クロスさんが扉のスイッチを触ろうとした瞬間 「駄目っ!!」 ぼくは力いっぱい彼にタックルした。 「ゲホッ・・・マリアちゃん・・・何す・・・」 ぼくは彼の立っていたところを睨んでいた・・・クロスさんも異常に気づいたらしくバスターをかまえた。 さっきまで彼の立っていた場所・・・今はもう跡形も無い、何が起こったのかははっきりとはわからなかったけど・・・ただ・・・何か・・・何かがその場所を通った瞬間に・・・スイッチは壁ごと無くなっていた・・・ 『おや?今度は女性もいらっしゃるじゃないですか・・・これは失礼を・・・どうぞお入りください、レディ・・・歓迎いたします』 どこからともなく声がして・・・扉がゆっくりと開いた・・・ 「どうします?」 「せっかく招いてくれるんだから、行くしかないでしょう。これは・・・」 ぼく達は扉をくぐった・・・怖かった・・・とても・・・ぼくはお守りのペンダントを握り締めた・・・
「ようこそ、可愛らしいお嬢さん」 扉をくぐったぼく達が見たもの・・・それは・・・中央の巨大な椅子に座るイレギュラーと・・・こなごなに砕かれた・・・レプリロイドだったであろう破片の山だった・・・ 破片の山がレプリロイドだったとわかったのは所々に砕ききれていない部分があったのと・・・周りが・・・赤黒いオイルでべっとりと濡れていたから・・・ 「美しいでしょう? この破片達も、壁や床についているオイルも・・・これは私の芸術なのですよ・・・さあ、あなたも私の手によって美しくしてあげましょう!!」 そう言い終わらないうちにイレギュラーがぼくに向かって突進してきた!! が、イレギュラーはぼくの所まで来れなかった。クロスさんのバスターが命中したんだ! 「こんのど変態が!マリアちゃんはな、今のままで十分綺麗なんだよ!!!」 ・・・なんか・・・違わない・・・それ・・・でも今はとにかく!あいつを倒すことを考えなきゃ!! 「おや、まだ貴様のような蛆虫がいたか・・・やはり害虫駆除はしっかりせんとな・・・」 イレギュラーは何事も無かったかのように起きあがってクロスさんの方をゆっくりと向いた・・・ そんな!?クロスさんのバスター、直撃したはずなのに!! 「・・・マジかよ・・・一応フルチャージだったんだぞ!?」 クロスさんも信じられないって顔をしてた・・・次の瞬間 グシャ・・・ 何カノ潰レル音・・・全テノ動キガすろーもーしょんニ見エテ・・・ 「!!ッイヤアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!」 クロスさんの・・・クロスさんのボディが・・・・ 赤ク・・・ソマッテイクノ・・・・ドウシテ? ソレハ・・・潰サレタカラダ・・・タブン、彼ハモウ動カナイ・・・ダッテ、壊レチャッタカラ・・・ 「蛆虫のくせに余計な手間をかけさせてくれるわ・・・さあ、お嬢さん、待たせたね・・・」 頭の中が・・・怒りと、悲しみと、恐怖で・・・真っ白・・・に・・・な・・・る・・・
気が付いたとき・・・ぼくは医療用カプセルの中にいた・・・ 「マリア! マリアー!!」 カプセルから出た瞬間エックス兄ちゃんに抱きしめられた・・・身体中きしんで痛かったけど・・・安心した・・・ぼくは・・・生きてる・・・でも・・・ 「マリア? どうしたの? 何処か痛いの?」 ぼくは泣いてた・・・ぼくだけ生き残ったから・・・ほかのみんなは・・・もう・・・ 「マリア、泣かないで・・・」 兄ちゃんが強く抱きしめてくれた・・・兄ちゃん・・・エックス兄ちゃん・・・ 「マリア、起きたのか?」 ゼロ兄ちゃん・・・ 「大丈夫か? 良くやったな、イレギュラーはお前が倒したんだ・・・」 ゼロ兄ちゃんのおっきな手が、ぼくの頭をなでてくれる・・・ 「でも、でも・・・みんなが・・・」 ぼくは泣きながらそれだけしか言えなかった。そしたら、兄ちゃん達が『おいで』ってぼくをトレーニングルームに連れていった・・・そこには 「クロス・・・さん?」 リハビリをしているクロスさんの姿があった。彼以外にもぼくと同じ部隊の人達が・・・ なんで!? みんな、粉々にされたんじゃ・・・ 「とうして? ってな顔つきだな」 エックス兄ちゃんとゼロ兄ちゃんを交互に見る。 「第7空挺部隊の人達はみんな潰されていなかったんだよ、ただ、強制的にプログラムを終了させるウィルスみたいなのをボディ内に入れられたらしくて、しばらくリハビリが必要だけどね・・・」 ・・・・・よかった・・・・ほんとうによかったよう〜・・・・・・みんな生きてたんだ・・・ 「あ!!マリアちゃーん!!」 クロスさんがぼくに気づいたみたい、こっちに片足を引きずりながらなんとか走ってくる。もう少しってところで、つまづいてぼくの方に倒れ掛かってきちゃって・・・ 「あぶな・・・」 ぼくはとっさに手を伸ばしたけど、ゼロ兄ちゃんがぼくを抱えて避けさせた・・・結果 べしゃ!! クロスさん、床に顔面強打・・・いたそう・・・ 「に、兄様?」 ぼくはまだゼロ兄ちゃんに抱えられたままで、兄ちゃんの顔を見てた。 「おい、お前、部隊名と名前を言え」 床に突っ伏しているクロスさんを兄ちゃんは睨みながら言った。 「え? あ!! ハッ!! 自分は第7空挺部隊のクロスといいます!!」 急にビしっと立って敬礼をする。・・・なんか・・・おもしろーい♪ 「良いか?よく聞けよクロス、もし、お前がマリアと付き合いたいならまず俺を倒せ!俺より弱いやつにこいつは渡さん!!」 兄ちゃんかっこいいvv 「マジッすか?」 「大マジだ」 クロスさん硬直ー♪ エックス兄ちゃん苦笑♪ 「解ったらとっととリハビリしやがれ!!」 「はっはいぃぃぃ!!!」 あ〜あ、クロスさん本気で怖がってた、でも、ゼロ兄ちゃんカッコよかった♪ 「まったく、ゼロったらすごいこと言うんだもん」 エックス兄ちゃんはまだ笑ってる。 「なんだよエックス、じゃあお前はそういう事気にしてないのか?」 「まさか・・・でもま、しばらくは大丈夫だろ? 君がいるからね・・・君が倒されたら次は俺だからさ。あ・・・でも、マリア・・・こんな事勝手に決めちゃったけど、良いかな?」 エックス兄ちゃんが申し訳なさそうに言ったけどぼくはぜんぜんそんな事気にしてなかった。だって、ぼく自身お兄ちゃん達より弱い人はやだもん♪ ぼくは大好きな二人の兄ちゃんに抱きついた。 |
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