祭!



夏真っ盛りである。

どこもかしこも「あちぃ、あちぃ」の季節である。

入りが1個目と同じとか言うな。

そんな季節だからこそ。

ハンターベースの諸君は海に来たわけだが。

日もどっぷりと沈み、現在はお祭りに来ていた。

ちなみに海での犠牲者、第0部隊の某隊員は某ナビゲータの付き添いの元病院行きである。

それはともかく今回も1組の男女のお話。

カップリングが同じとかいった奴ぶっ殺す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごい人・・・」

クロードはボソッと呟いた。

ちなみに現在のクロードの格好。↓

         サングラスに深めの黒い帽子。

結構端から見ると恐ろしい物があるが、それなりに有名人なわけで。

海では変装し忘れてもみくちゃにされたので学習したのである。

でもクロード、結構詰めが甘いので帽子にStar Angelsのエンブレムが入ってる事に気付いてません。

結局バレるのは時間の問題のようである。

「不審者発見っ!! せいやぁっ!!」

 

どすっ!

 

クロードの背中に思いきり蹴りが入る。

バランスを崩して、思いきり顔面から地面にダイブするクロード。

その後ろでは、してやったり、というような顔をした鈴が立っていた。

「にしし、成敗完了・・・ってクロちゃんじゃん。なにしてんの」

「・・・蹴ったの、鈴さんでしょ・・・」

「ああ、ワリ。めちゃめちゃ不審者だったんだもん」

笑いながら言う鈴に、苦笑するクロード。

鈴の手には、無数の金魚が入ったフクロがぶら下げられている。

「いっぱい取りましたね・・・」

結局サングラスを取りながら、鈴の手を見て言う。

「んぁ? ああ、これ取ったのの1割にも満たないな〜」

「は・・・?」

「残りはカズミがペットのエサにする、とか言ってたからあげちったぃ」

笑いながら言う鈴。

ここまで歩いていて金魚すくいが1箇所もなかったのは彼が全て取ったからのようだ。

しかし子供達は金魚を持っていたから鈴がプレゼントしたんだろう。

子供にだけは優しい彼らしい。

「んぉ、射的発け〜ん! オッサン、30回!!」

ケタが違う数を鈴が言った気がしたが、気のせいではないだろう。

だって鈴だもん。

「あいよぉ! 兄ちゃん気前良いねぇ!」

「いっくぞぉ〜い」

 

パン!!

 

 

・・・なぜ一発3つも景品が落ちますか?

「はっはっは〜、俺マジック?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局あの後全部景品を取った鈴は、6歳以下の子供限定に無料配布していた。

本人としては店の主人を泣かせられればよかったらしい。

性格が相変わらず悪い。

クロードはゆっくりと歩いて、店を回っていた。

いろいろサインやら握手やらから逃げていたり、大変である。

新参者である自分ですらこれなのだから、イヴやリスティ、ソードはもっとすごいのだろう。

そんな事を考えつつ。

「・・・金魚すくいだ・・・」

一つの店がクロードの目に入る。

鈴の目を掻い潜った店。

ある意味かなり強者である。

クロードが近づいていくと、下を向いていた青年が顔を上げる。

「いらっしゃい、やるかい?」

「あ・・・はい」

なんとなく頷いてしまったクロードは、お金を払ってすくう為にしゃがむ。

「・・・よっ・・・」

 

ボシャ。

 

一瞬、すくえたと思った瞬間に、紙が破けて金魚が落ちた。

クロードの口許がひくつき、米神に怒りマークが浮かぶ。

「・・・もう、一回・・・」

「はいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ・・・人込みが凄いな・・・」

ユーマは関心するように言う。

ユーマ、螺旋、ヴィシュヌ、そして食われてるブラフマーの4名は人込みの中を歩いていた。

「ヴィシュヌ、はぐれないように気をつけろ」

母親っぽく注意するユーマ。

ヴィシュヌは苦笑すると、人だかりが非常に凄い店を見つける。

螺旋とユーマに言ってその場所に向かうヴィシュヌ。

シヴァに食われたままのブラフマーもひょこひょこと着いていく。

人込みを掻き分けて中心を見ると、黒い帽子を被った蒼髪の少年。

そして隣にある金魚すくいの残骸の山。

「おい、兄ちゃん・・・いい加減に・・・」

「黙っていてください」

ピシャリと言うと、クロードは再び集中する。

周りのギャラリーはStar Angelsの一人がいるから、という事で見に来ていた人物が大半。

そしてもう半分はハンターベースのハンター達。

「・・・まだ、負けたわけじゃない・・・」

そう言って、素早く水に金魚すくいを入れ、金魚を捕捉する。

 

 

ボシャ。

 

 

やっぱり金魚は水に落ちた。

「・・・なんで・・・成功しないんだろ・・・」

はぁ、と溜息をつくと、お金を払って立ちあがるクロード。

その時になってやっと後ろのギャラリーに気付いたようで。

慌てて林の中に走っていった。

ヴィシュヌもそれを見ると、咄嗟に走り出す。

ブラフマーも追おうとしたが。

 

ガブガブ。

 

うぎゃぁぁぁぁぁ!!

やっぱり御犬様がいい動きを見せた。

ナイスアクション。

そしてブラフマーのことはまったく考えていない。

 

 

 

 

 

「クロードく〜ん?」

林の中をゆっくり歩きまわるヴィシュヌ。

クロードの姿を見失ってからしばらく立つが、クロードは見つからない。

御犬様としても、ヴィシュヌが迷うのは予想外だったのだろう。

「クロ・・・うわっ!?」

いつも通り、1歩を踏み出した瞬間。

地面がないことに気付いてバランスを崩すヴィシュヌ。

思わず目を瞑るが、いつまで待っても地面にぶつからない。

あるのは、妙な浮遊感と右手首の痛みだけだった。

「・・・?」

目をあけて、上を見るヴィシュヌ。

そこには、小さく溜息をつくクロード。

「ク、クロードくん!?」

「上ってきてもらえますか? いつまでも、支えてられないんで・・・」

クロードがそう言うと、ヴィシュヌは慌てて崖の上に上る。

 

 

 

 

 

「はぁ・・・大丈夫ですか?」

「う、うん。ごめん・・・」

「いえ、気になさらないでください」

そう言って微笑するクロードに、多少顔を赤くするヴィシュヌ。

「そろそろ、ですね・・・ちょっと来てもらえますか?」

手を差し出して立ちあがるクロード。

ヴィシュヌはその手を取ると、クロードの後についていく。

しばらく歩き、大き目の木の前で足を止める。

「これ、上れます?」

「これって・・・この木?」

クロードはゆっくり頷くと、軽く跳躍して太目の枝に掴まる。

体を大きく振って枝の上に立つと、再びヴィシュヌに手を差し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、落ちそうになったり、ヴィシュヌにクロードが怒られたりといろいろあった。

枝の上に座ると、暗くなってきているお祭りの会場の方を見る。

「なにがあるの?」

「しっ・・・静かに・・・」

唇に人差し指を当てて、そう言うクロード。

クロードの言う通り静かにしていると、しばらくして。

 

 

光の球が上がったかと思うと、天空で弾けて、花のように広がる。

 

 

「・・・きれい・・・」

「さっき、花火が打ち上げられるって聞いたんです・・・それで、いい場所ないかと思って」

花火を見ながら言うクロード。

そんなクロードの横顔を見て、ヴィシュヌから笑みがこぼれる。

「・・・海で言った事、覚えてる?」

その言葉を言った瞬間。

クロードの顔が赤く染まる。

言っている張本人であるヴィシュヌの顔も赤い。

「・・・覚えて・・・ますよ・・・」

「・・・よかった」

枝の上に置いていた手がぶつかって、慌てて手を引こうとするクロード。

だが、その手もヴィシュヌに抑えられる。

「ヴィ・・・シュヌさん・・・?」

「・・・クロードくん、俺・・・」

 

 

「お〜い、クロちゃ〜ん、いきてっか〜?」

 

 

突然、下のほうから鈴の声が聞こえる。

鈴だけではなく、他のハンターの声も。

どうやら大騒ぎになっているようである。

結局、ヴィシュヌの告白も中断させられて。

大きく溜息をつくヴィシュヌ。

ふと、ヴィシュヌの頬に何かが触れて、耳元でなにかを囁かれる。

 

 

 

「いつか、聞かせてください・・・今の言葉の、続きを・・・」

 

 

 

暗闇でよく見えなかったが、ヴィシュヌの目に入ったクロードの顔は確かに真っ赤で。

頬に触れたそれが、昼間彼にしたモノと同じだと気付くのに時間はかからなかった。

 

 

 

 

恋する男女の。

  一夏の出来事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いい加減続き考えるの辛い。(何)

 

 

 

<END>





感想

お誕生日プレゼント第2段にございますー!!

やっぱいいですねぇこの二人の関係Vv

しかし・・・なんかシヴァがブラフマーの(逆?)オプションになってるような(笑)いつも食いつかれてますな(大笑)

そして鈴君の大人に対しての容赦のなさ加減が凄いステキです(笑)

にしても、クロード君って結構不器用なんですかね?でも、金魚すくいに真剣になってる姿がとても可愛いです♪

ステキな小説、2つもプレゼントしてくださって、本当にありがとうございましたー!!!





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