記憶



<*注>文中の「――――」や「※※※」は人名になります。

    誰を呼んでいるのか、ということを伏せるためにこういう表現をしていますが

    解かり辛いので注意書きとしてここに記入しておきます(^^;

    その部分は、ノイズ音のようなものが聞こえると思っていただければ結構です。

    では、本文をお楽しみください・・・



「――――」

 いつもどおりの優しい声に振り返る。そして、いつもどおりの優しい微笑みにこちらも顔をほころばせ・・・抱きしめ・・・彼女の甘い匂いを堪能して・・・額にキスを落とす・・・

「大好き・・・」

 ほんのり頬を染め、そう言ってくる彼女は炎のような赤く長い髪を風に揺らし、とびきりの笑顔でそう言った・・・

 

 

 出会いは本当に偶然やった。親父の友人である学者の家へ親父とと共に尋ねにいったとき、彼女が出迎えてくれた。

 親父らの研究の邪魔にならんようにと、わいは彼女と共に外で待つことになった。ま、今二人が創っとるレプリロイドの事での話し合いやろ・・・詳しい話は聞いてへんから、よう知らんけど・・・

 とりあえず、客間みたいなところに通されて。茶、出されて待つ事小一時間・・・

「おやじぃ・・・まぁだ終わらんのかいなぁ・・・・」

 テーブルに突っ伏して唸るように呟いとったら、後ろからクスクスと笑い声が・・・ばっと体を起こして振り向くとそこにはさっきわいをここに案内した女が立って笑っとった・・・

「あ・・・・えっと・・・今の・・・見とった?」

 我ながらものごっつぅ情け無い声でたずねる。

「ええ、ノックはしたのですが、お返事が無かったので・・・」

 あちゃぁ・・・暇過ぎて完全に意識飛んどったんかいな・・・

「おじ様があなたにもう少し時間がかかると伝えてきてほしいとおしゃってましたので・・・」

「・・・マジですかぁ・・・・」

 また目の前のテーブルに突っ伏す。正直暇なんは性に会わん・・・誰か助けてくれぇ・・・って感じや・・・・

「うふふ・・・私でよければ、お話しませんか?少しは気が紛れると思いますが・・・」

「ほんま!?もう願ったりやって!」

 またまたがばっと上半身を起こして彼女のほうを見る。正直、マジで助かった思とったし・・・何より、こんな美人の誘いを断ったら男としてあかんやろ、うん。

「クスクス、では、お茶をいれ直しましょう・・・紅茶でよろしいですか?」

「おおきに♪」

 

 それが出会い・・・んで、それからも何回か親父につきそーて彼女のうちに行って・・・まぁ、親公認のお付き合いっちゅ―の?親父の用事が無くても彼女に会いに行くようになって・・・一緒に出かけるようにもなって・・・

 キスも・・・した・・・そら、まだ唇にはでけへんかったけど・・・・結婚式ごっこみたいな感じで・・・花束持った彼女の額にキスをした・・・はたから見たらママゴトみたいな事やろうけど・・・わいらはほんまに幸せやった・・・

 

 ・・・アンナ事ガ起コルマデハ・・・・

 

「おっちゃん!!!」

 わいは息を切らして彼女の家へ飛び込んだ。

「――――君・・・・」

「おっちゃん!※※※が、※※※がさらわれたってほんまか!?」

 部屋に入るなり、わいはおっちゃんの胸倉つかんで叫びながら言った。おっちゃんは抵抗もせんと首をうな垂れたままわいに揺すぶられとる・・・

「――――止めるんだ!落ち着かんか!!」

 親父がわいの腕をつかんでおっちゃんから引き剥がす。

「すまない・・・で、犯人からの要求は?」

「・・・・・まだ・・・何も言ってこないんだ・・・・・いったい何の目的であの子を・・・・」

 おっちゃんは頭を抱えて座り込んだ・・・わいはそれを見とられんくなって・・・

「――――!?どこに行く!!」

「やかましぃ!!」

 家を飛び出した・・・・

 

 彼女を連れ去った奴等の目星は付いとる。目撃証言から、この街で最も悪名高いグループの連中が連れ去った事は間違いない・・・

 わいは・・・奴らがねぐらにしとる廃ビルに向かった・・・・

 

 ビルの前に到着するとすでに数人のイレギュラーハンターが立っているのを見つけた・・・

 

 ・・・表から入るんは無理やな・・・・

 

 そう判断したわいは別の入り口を探し、中に入る事に成功した・・・中ではハンターと下衆共の戦闘が繰り広げられ・・・わい一人が紛れ込んでも気付いた奴はおらんかった・・・何とかと煙は高いとこを好むっちゅーけど・・・どうやらここの奴等も例には漏れてへんらしい。最上階に近づくにつれ、警備(?)がごつくなってきよった・・・・

「邪魔するんやないでぇ!!!」

 どうやらわいもハンターと思われとるらしい、

「死ねぇ!!」

 ナイフ持った男が突っ込んできよった、ご丁寧お決まりの言葉を叫びながら。

「やかましいわ!あほんだらぁ!!」

 

 めきゃ・・・

 

 かなりヤバげな音をたてて、わいの拳が男の顔にめり込む。男は仰向けに倒れてったけどんなこたわいには関係ない!邪魔するやつは叩きのめしてく!!

 向かってくるやつらを倒していきながら・・・中には狭い中いっぺんにかかってこようとするから自滅し取るやからもおったけど・・・とにかく、ようやっと最上階に到着した時・・・・・・わいが見たのは・・・・・・・・・・

 

「・・・※※※?」

 彼女の名前を呼ぶ・・・裸にされ・・・・床にうつぶせに・・・気絶・・・してる彼女を・・・

「なんだぁ?てめぇ・・・」

 頭の腰ぎんちゃくみたいなのがよってきよった。

「※※※?なぁ※※※、返事してや・・・・」

「無視してんじゃね・・・・ぐ・・・ぁ・・・」

 男が突っかかってきよったから腹に一発。それだけで気絶しよった・・・まぁ、アバラ折れとるかもしれんけどな・・・

「※※※、※※※、返事してや・・・なぁ・・※※※」

「※※※、※※※うるっせぇなぁ・・・・何?お前がこいつのこれ?」

 おそらくこいつが頭やろう、そいつは・・・彼女の髪を掴んで持ち上げ・・・わいに向かって親指を立てた。

 ・・・彼女の顔は涙でぐしゃぐしゃになっとって・・・所々に・・・殴られた・・・

「きさまぁぁ!!!!」

 殴ろうとしたわいの拳は寸前で止まった・・・奴は・・・彼女を盾にした!!

「だっせぇの・・・お前ら、やれ」

 

 そっからのわいの意識は途切れ途切れ、抵抗しようとすると彼女を傷つけようとするのが目に入り・・・なんも出来へんままタコ殴り・・・口ん中切れるし、アバラもイカレタ感じがするし・・・壁に叩き付けられて・・・体が動かんくなって・・・頭の男が・・・わいの方になんや黒い鉄の塊向けた・・・

「じゃぁな」

 

 ・・・・何かの爆発する音、独特な鉄の匂い・・・・赤く染まる・・・視界・・・・

 

「・・・・・・・・・※・・・※※?」

 顔にかかる液体、いやな臭いの中に・・・あの甘い匂い・・・視界に広がる赤は・・・彼女の・・・髪・・・

「※※・・・※?・・・※※※?・・・・※※※!?※※※!?※※※!※※※!!※※※!!」

 彼女の名を呼ぶ・・・何度も!何度も!!何度も!!!

「―ン―・・・ラ・・・」

「何でや・・・何で・・・・」

「私は・・・も・・う・・・汚れて・・・しまった・・の・・」

「何・・言うとるんや・・・お前は綺麗なまんまや・・・」

 彼女は首を横に振る・・・

「わかる・・・・でしょ?わた・・・しが・・・何をされ・・・・たのか・・・・・」

 今度はわいが首を振る・・・わかっとってもわかりたない・・そんな事・・・わたりとうない・・・

「・・で・・・も・・・・・・さい・・・・・ご・・に・・・・・貴方・・に・・・逢えて・・・・・」

「最後なんて言わんといて・・・・・これからもずっと一緒におる言うてや・・・・」

「・・・ごめん・・・ね・・・・・・・・」

 微笑んで・・・彼女は動かなくなった・・・・・・・・・

「※・・・ポ※?・・・・・うそ・・やろ・・・?なぁ・・・・目ぇ開けてや・・・なぁ・・・なぁ・・・ア※ロ!いやや!!なぁ目、開けてや!!ア※※!※※ロ!!!」

 

 いやや!いやや!!いやや!!ずっと一緒やて!ずぅっと一緒や言うて約束したやないか!!いややぁ!!!

 

「うぜぇ」

 男が呟く・・・

「反吐が出る・・・何やってんだお前ら、今どき純愛ごっこかよ・・・・」

 また、男が鉄の塊をわいに向ける・・・

「もういい・・・お前も死ね」

 

 そこから先ははっきり言って真っ白や。何をして、どこをどう動いたかなんてことはまったく覚えとらへん・・・・

 気が付いたら・・・・二人でよう遊びに来とった・・・教会の中やった・・・・腕ん中には・・・もう動かへん彼女・・・

 

 そういや・・・純白のウェディングドレス着るんが夢や言うてよう話しとったな・・・

 

 辺りを見回して・・・レースのカーテン引きちぎって・・・彼女の体を包み込む・・・

「ほら・・・お前が一番綺麗や・・・色んなカタログとか見て・・・話ししとったけど・・・やっぱり・・・どのモデっよりっ・・・くっ・・・・うぁ・・・・・・・」

 最後は声にならんかった・・・ただ・・・嗚咽だけが静かな教会にひびいとった・・・・

「・・・・今・・・・わいもそっちに行くさかい・・・・もうちょっと・・まっとったってな・・・・」

 彼女の唇にキスをして・・・・多分あの男のもっとた鉄の塊やろう・・・何でか今わいはそれをもっとる・・・・それを・・自分のこめかみに向けて・・・・・

「今・・・行くさかい・・・な・・・・・」

 

 ガウゥゥ・・・ン・・・・・

 

 

 目の前が真っ赤に染まる・・・赤色・・・全て赤色・・・お前の・・・赤色・・・・

 

 

 

 

「・・・・―――――?・・・・・イ・・・・ラ?・・・・」

 声が・・・・聞こえる・・・

「インドラ?・・・インドラ?どうした?大丈夫か?」

 体を揺さぶられ、ゆっくりと目を開ける・・・飛び込んできたのは・・・綺麗な赤色・・・

「・・・インドラ?」

「んぁ?」

「大丈夫・・・か?」

 赤色の正体は相棒の髪・・・・ああ、そうか・・・わいは今アポロの部屋におるんやっけ・・・?

 体を起こし、ベッド代わりに使っとったソファーに腰掛ける。

「酷いうなされようだったぞ?悪い夢でも・・・見たのか?」

 そんなわいの顔を心配そうに覗き込む相棒。

「・・・夢・・・・見とったようなきぃするけど・・・忘れた・・・」

 相棒の顔はあんま納得しとらんかったけどそうかって言うてたち上がった。

「・・・インドラ?・・・・本当に大丈夫なのか?」 

 黙って俯いたままのわいの顔を、また心配そうな顔をして覗き込んでくる・・・あかん・・・甘えたくなるやんか・・・

「インドラ?どうし・・・・!?」

 立ったままの相棒の腰を強引に抱き寄せて・・服に顔をうずめる。太陽の匂いがして・・・落ち着く・・・・

「なっ!?インドラ!!離せ!!」

「・・ちょっとだけ・・・・こぉさせてぇな・・・」

「・・・一体どうしたんだ?」

「・・・・・・・・・」

「ふぅ・・・まったく・・・・」

 何も言わんくなったわいの背中をぽんぽんっと優しくあやすように叩いて、頭を優しく撫でる。ああ・・・今めっちゃ子ども扱いされとる・・・同い年やのに・・・・まぁ・・・しゃーないけど・・・・

 今は・・・それに素直に甘えときたかった。さっき、夢は忘れた言うたけど・・・ほんまは覚えとんねん。赤い髪の女の声と・・・心に残る憎悪、悲しみ、負の感情・・・・それが今もわいの頭んなかまわっとって・・・

 

「なぁアポロ・・・」

「ん?」

「ずっと・・・一緒におってな?」

「本当にどうした?さっきから・・・」

「・・・・・・なぁ・・・一緒におってな・・・・」

「・・・お前が離してくれないだろう?」

 少し笑ってそういう。わいが顔を上げると、額にキスされた・・・

「これが返事だ・・・」

 顔を真っ赤にしてそう言った相棒が・・・夢の女にかさなる・・・わいは、ほんの少しだけ泣きそうになって、もう一度相棒をきつく抱きしめた・・・

 

 アレはきっとこの姿になる前の記憶。生まれ変わりなんてもん、わいらキカイの体を持つ者には無縁の世界・・・おそらく親父らがデータを書き換えて・・・ボディチェンジさしたんやろな・・・根本的な性格だけ変えずに・・・

 何でそないな事を考えるのかっていうんにも・・一応理由はある。想像で見た夢にしてはあまりにもクリアな映像、リアルな感触・・・そして・・・初めは完璧にノイズのかかった・・・互い名を呼ぶ声が・・・次第にはっきり聞こえるようになって・・・

 夢の中で・・・わいは彼女を「アポロ」と呼び・・・彼女はわいを「インドラ」と呼んどったから・・・・

 

END



後書き

えーっと・・・とりあえずごめんなさい(−−;

私、元々や○いには抵抗ない人なんで・・・・

このカップリングを考えたときに『なぜこの二人が惹かれ合うのか』って事を考えたんです。

で、出来上がったのがこの話。

あと、これだけは言っておきたい!ってことが一つ。

二人とも、普通に女の人が好きで、綺麗な人を見ると目を奪われたりもします。

アポロもインドラも、男が好きなわけじゃないんです。

男相手に、好きとか言うのはお互いだけなんです。

ごめんなさい、妄想突っ走り中です〜(−−;





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