始まり

始まり



 

 月、大きな月、赤い月・・・あの日、私が目を覚ました日もこんな月の晩だった・・・

 

「おはよう、気分はどうだ?」

 目を開けて、一番最初に飛び込んできたのは綺麗な銀色。

「どうした?・・・声が出せないか?」

 銀色は綺麗な男の長い髪。男は何も言わない私の顔を覗き込んだ。目は血の色みたいに真っ赤・・・

「・・・大丈夫・・・気分も・・・悪くはない・・・と、思う」

 体を起こしてそう答える。体中、どろどろした物がついていて・・・ちょっと気持ち悪いけど、気分が悪いわけじゃない。

「そうか・・・」

 男は一言そう言うと、私を抱き上げ歩き出した。

「・・・どこ行くの?」

「風呂場。そのままじゃ気持ち悪いだろう?」

 そのまま私はお湯の張られた湯船に入れられ体についていたどろどろを洗い流してもらった。

「熱くはないか?」

「・・・だいじょうぶ」

 

 お風呂から上がって、頭を乾かしてもらっていると。今度は髪の短い男が話し掛けてきた。

「お?ようやくお目覚め?」

 この男も銀の髪に真っ赤な目。

「おはよぉ〜♪へぇ、かなりカワイイじゃん♪」

 男は上機嫌で私の乾かしたばかりの髪を自分の指に絡ませる。

「貴方達は誰?」

 私の質問に、二人の動きが止まる。

「・・・なに?レイ、説明してなかったのか?」

「・・・そういえばしていなかったな・・・・」

 呆れたように言う男に、レイと呼ばれた男は特に慌てた風でもなく返事をしてる。

「レイって肝心なとこ抜けてるよな・・・ま、いいや。俺の名前はイクスってんだ♪」

「俺の名はレイ。俺達はお前の『兄』だ」

 『兄』・・・私の『兄』達・・・

 私の前で無邪気に笑うイクス兄様。

 私の髪を梳かしている。長い綺麗な髪のレイ兄様。

「・・・じゃあ、『私』は?」

 2人は私の兄様・・・じゃあ、私は何?

「お前は、俺達のかわいい『妹』♪」

「お前は・・・俺達の『リリス』だ」

「『妹』・・・・・・『リリス』・・・」

 兄様たちの言葉を繰り返す・・・私は『妹』・・・私は『リリス』

「これからよろしくな♪」

 イクス兄様は嬉しそうに私を抱きしめた。兄様の肩越しに窓の外に見えた大きな赤い月が、とても印象的だった・・・レイ兄様とイクス兄様・・・そして私の目の色と同じ、赤い月・・・・

 

 これが私の目覚め。私の、始まり・・・

 

 

 END




後書き

久しぶりの小説更新です(爆)

今回はマリアのライバル(?)リリス嬢が誕生した時のお話し。

イクスやレイ(黒ゼロ)もほぼオリジと化しておりますので完全オリキャラの話しになってますな(苦笑)

このお話し、実は100のお題の1題目だったりします・・・・

2題目で詰ったんで、書いてある1代目だけでもUPしとこうと・・・

って言うか詰まるん早すぎやろ自分(苦笑)





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