THE HAPPENINGS OF A CERTAIN DAY



 結局、この日4人は昼食をとることが出来ず・・・夕食もかなり遅い時間になり、ようやくありつけた。

「アポロさんって料理お上手なんですね」

 食事が終わり、後片付けをしているアポロに感心しようにミスティルが言うと、彼は少し照れたように、

「お気に召していただけたようで安心しました」

 と微笑んだ。

 ちなみに、何故彼一人で後片付けをしているのかというと他のメンバーは今まで忙しく動き回っていたのだからとアポロ自身が3人に休むように言っておいたからである。

「ねぇアッく〜ん、デザートは?」

 

 飯作ってもらっといて更にデザート要求するんかい・・・

 

 アプサラスの一言にインドラがそう思い、一言言おうと口を開いた時、

「お前な・・・」

「あ、冷蔵庫にゼリーが入っていますよ」

 インドラが注意するよりも早くアポロがにこやかにデザートのありかを伝える。その様子に、インドラは一気に脱力した。食事はともかく。まさかデザートまで用意してあるとは・・・

「・・・・」

「どうしました?」

 何かを言おうとして急に黙ってしまったインドラに、アポロが不思議そうに尋ねる。

「・・・いんや、なんでもないっす・・・・」

 が、インドラはテーブルに突っ伏したまま力なく答えるだけであった。

 そんな二人の様子はお構いなしに、いそいそと冷蔵庫の扉を開け、中を見たアプサラスは思わず歓喜の声を上げる。

「うわぁ・・・すっごい!これ、全部アッ君が作ったの!?」

 その驚きようにミスティルも冷蔵庫の中を覗き込む。

 中にあったのは色とりどりなゼリー。

「どれでも好きなものを選んでください」

 洗った食器を片付け終わり、食後のコーヒーを入れているアポロの一言に二人は目を輝かせる。

 いつの時代も女性は甘いデザートに弱い。二人はそれぞれ好きな物を一つ選んでテーブルへ戻った。

 少し送れて、アポロはインドラの分のコーヒーも入れ同じくテーブルに戻る。

 

「・・・・・」

 食後の談笑をしていた4人だったが、アポロはミスティルの手が止まっている事に気が付いた。

「どうしました?」

 ゼリー、お口にあいませんでしたか?

 少し不安そうに尋ねる彼にミスティルは慌てて首を横に振った。

「いいえ、ゼリーはとても美味しいです」

「どうしたのみーちゃん、気分悪い?」

 ミスティルの様子に、アプサラスも心配そうに尋ねる。

「違うの、ただちょっとお二人を見てて・・・」

 お二人、といわれ、向けられた視線の先にはアポロとインドラ姿。

「私達を・・・見てて?」

 不思議そうに首を傾げるアポロに、特に興味を示すふうでもなくコーヒーを飲もうとするインドラ。

「ええ、なんだか・・・夫婦のようだなと」

 

 ごふっ!!

 

「キャー!!ドラちゃん汚い!!!」

「うわっ!?い、今タオル持ってきますから!!」

 『夫婦』と聞いた瞬間、インドラが飲んでいたコーヒーを噴出す。幸い、コーヒーの量が残り少なかった事と、噴出す瞬間カップを口から離し噴出したわけではなかったので・・・被害を受けたのは噴出したインドラの着ていたシャツとテーブルクロスだけであったが・・・

 ごほごほっと咳き込むインドラにタオルを差し出して、アポロは素早くテーブルクロスを取り去り、洗濯機に汚れたインドラのシャツごと放り込みスイッチを入れる。これでシミになることは無いだろう。

 テーブルに戻ると、何とか落ち着きを取り戻したインドラが、複雑な表情を浮かべてミスティルを睨んでいる・・・彼が今上半身裸だと言う事は気にしてはいけない。

「やっぱり・・・アポロさんって『お母さん』みたいね」

 インドラの視線をもろともせずニコニコと告げる。その言葉にアポロは少し眩暈を感じた。

 確かに『お母さん』と言われるような事はしたが、面と向かって言われると・・・自分が男性機種なだけにかなり複雑な心境になる。

「で、何でわいらが夫婦なん?」

 一つため息をついて、インドラが尋ねると・・・ミスティルはニコニコとした表情のまま、

「あら、だって。貴方達の行動って、夫婦そのままよ?」

 と、再び事も無げに言ってのける。

「えーっと・・・どの辺が?」

 恐る恐る・・・といった感じに聞いてくるインドラに彼女は表情を崩すことなく説明を続ける。

「まず、いくら起動して間もないからってインドラさんはアポロさんをかまいすぎだと思うわ」

「そ・・・そやろか?」

「そうね、まるで『身重の奥様を気遣う旦那様』のような感じかしら♪」

 

 がんっ!ごんっ!

 

 今度の発言にはアポロまでテーブルに頭を打ち付けてしまうほどとてつもないものだった。

「二人とも大丈夫〜?」

 くすくすと笑いながら言うアプサラスにインドラが恨めしそうな視線を送る。

「って言うかわいらは男同士やぞ!?何でそないな発想に辿り着くんや!!」

 そして、勢いよく体を起し叫んだが、その額には薄っすらと冷や汗が・・・

「え〜?だってドラちゃんアッ君のこと好きなんでしょ?」

「・・・は?」

 アプサラスに言われた言葉にインドラは間の抜けた表情で聞き返した。

「な・・何言うて・・・・」

 額から流れる汗の量が一気に増える。表情は引きつり、顔色も真っ青だ。

「え?だってドラちゃんがアッ君を見るときの視線ってまるで恋する・・・・」

だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

 アプサラスが最後までしゃべり終わる前に、彼は彼女を担ぎ上げ、外へ駆け出た。

「・・・インドラ・・・一体どうしたんでしょうか?」

「どうしたんでしょうねぇ?」

 ダイニングルームに残された二人は顔を見合わせ、アポロは不思議そうに、ミスティルは苦笑して呟いた。

 

 

お、おま!・・・い・・・いつから気ぃ付いとったん?」

 外へ連れ出したアプサラスに、恐る恐る、といった感じで尋ねる彼。そんな彼に、彼女はにやりと笑って・・・

「いつからだと思う?」

「アプサラス!!」

 ふふふ、と笑って答えようとしない彼女を睨みつけ、名前を叫ぶ。

「んもう、そんな怖い顔しないでよ・・・」

 ふぅ、と大袈裟にため息をついてみせ、

「気付いたのは、あなたがアッ君をここに連れてきた時・・・つまり初めっからね♪ドラちゃんったらまるで恋人を見るようなやっさしい視線アッ君に送ってるんだもん〜・・・見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうVvって感じだったのよ?」

 と、にこやかに言い放つ。そんなアプサラスの言葉にインドラは本気で固まっていた。

 

 さ・・・最初からやて!?つー事は何や?わいって初めからあいつの事そう思とたって事か?って、ちょー待て!わいは自他共に認める女好きのはずや!!何でよりによって男のあいつに・・・

 そ、そりゃたまに『頼ってくれるん嬉しいなぁ』とか『笑った顔可愛いなぁ』とか『寝顔色っぽいなぁ』とか思・・・・ってあかん!あかん!!そっちの方考えたらあかんて!!わいはノーマルやー!!!そっちの人や無いってーーー!!!!!!

 

 ・・・自らの事を女好きというのはどうかと思うが・・・兎に角、それほどアプサラスの言葉は彼にとって衝撃的なものだったらしい。

 頭を抱えぶつぶつ言い出したインドラに、さすがにアプサラスも心配そうに声をかけた。

「・・・ドラちゃん?おーい、やっほ〜??」

 名前を呼び、目の前で手を振っても気付かずにぶつぶつ言いつづける彼にアプサラスがちょっとした悪戯を思い付く。

 おむもろに彼の耳元で・・・

「・・・・・・ドラちゃん、ドラちゃんさえ良ければアッ君の×××な写真撮ってきてあげようか?」

 

 ボンッ!!ズザザザザザザザザ!!!

 

 ボソッと囁くように言った言葉に一瞬にして顔を真っ赤に染め更に素早い動きで彼女から距離をとる。

「な、ななななな何言うとんねん!!!」

 かなり離れた場所から、赤い顔のまま叫ぶその姿はかなり滑稽で・・・アプサラスは遠慮なくそんな彼を笑い飛ばした。

「きゃははははは♪ドラちゃんおもしろーい!!」

 腹を抱えて笑っている彼女の様子に、ようやく担がれた事に気が付いた彼は先程とは違う意味で顔を赤くする。

「アプサラス!!!」

「いや〜ん、ドラちゃんが怒ったぁ♪」

 逃げるように室内に入る彼女を急いで追いかけるインドラ。そんな彼に、追い討ちとばかりに彼女の一言。

「そんなに写真欲しかったの?」

違うわぁぁぁ!!!!!

 

 

 一方そのころ、室内に残っていたアポロとミスティルは、初対面という事もあって色々話しをしていたのだが・・・・

 見回りの時間になっても外に出て行った二人が帰ってこないので、アポロはミスティルに「見回りに行ってくる」と言いダイニングルームを後にした。

 

 

To Be Continued



中書き

アポロさんに洋食とお菓子を作らせると達人並み美味さの料理が出来上がります!

しかも家事一般もお手の物・・・こんなんだから『お母さん』とか言われちゃうんですよねぁ(笑)

最後のほうでアプサラスが言ってた『×××な写真』がどういうものかというのは・・・ご想像にお任せいたします(笑)





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