ぼくの家族



 

 どうも、おはようございます。俺の名前はエックスって言います。

 今日は俺の兄弟の紹介をしたいと思います。

 

 

 まずは、長男のシグナス兄さん。

 兄さんは俺と11歳も年が離れていて、兄さんと言うよりも父さんのような感じがします。

 小さいころは兄さんが非番のときとか、一緒にサッカーをして遊んでくれました。

 とても優しくて、頭のいい兄さんは町の派出所の警官です。小さな子供にも人気のある頼もしい町のお巡りさん。俺も、大人になったら兄さんのような警察官になるのが夢です。

 

 

 次は長女のエイリア姉さん

 姉さんは俺たち兄弟の中で唯一の女性です。きれいで優しいエイリア姉さん。でも、怒るとすごく怖いです・・・

 姉さんは普通のOLだけど、護身術で合気道を習っているからとても強いです。この間なんて、前から走ってきた引ったくりを投げ飛ばして捕まえたって言ってました・・・新聞にも載っていたので本当のことです。

 ある意味、俺たち兄弟の中でも最強かもしれません・・・

 

 

 次は、次男のダグラス兄さん。

 兄さんは手先が器用で、故障したものを何でも直すことが出来ます。小さいとき、俺は兄さんの事を『機械のお医者さん』と言って尊敬していました。もちろん、今もそれはかわりません。

 今は近所の自転車屋さんでアルバイトをしていますが、頼めば何でも直してくれるし、人当たりのいい性格なので近所のおばさんや子供達にも人気者です。

 この間、再生が出来なくなった俺のMDウォークマンを直してくれました。結構お気に入りだったのですごくうれしかったです。

 

 

 次は三男のゼロ兄さん。

 俺と一番年の近い兄さんです。2つしか違いません。けど、兄さんは何かと兄貴風を吹かせます・・・でも朝に弱いので、このときばっかりは俺に勝つことが出来ません。俺は早起きも特に苦じゃないし。

 兄さんは俺と同じ高校の3年生です。見た目や言動で誤解されやすいけど、本当は頭がとてもよく、優しいです。でも、口が悪く兄弟一怖い人に絡まれます・・・自分から喧嘩することはないのですが、売られた喧嘩は必ず買う!という人なのでよく喧嘩して帰ってきてシグナス兄さんに怒られます。けど、あんまり懲りていないみたいです・・・

 一応剣道部の主将なんですけど・・・

 

 

 最後に、四男の俺。エックスの事です。

 俺は今、ゼロ兄さんと同じ高校の1年生です。成績は・・・中と上の間を行ったり来たり・・・と言った感じです・・・シグナス兄さんとの約束で、あんまり成績が落ちると好きなことが出来なくなるので結構大変です・・・

 部活はサッカー部に入りました。今のところポジションはFDです。でも、まだスタメンじゃないので試合には出れません。早くフィールドに立ちたいです。

 

 

 

 俺たち兄弟はこんな感じです。

 あ、そろそろ学校に行かないと遅刻しちゃうんで、ひとまず失礼します。

 

 

 

 

「「いってきまーっす!!」」

 元気よく家を飛び出したのは二人の兄弟。

「ったく、何で朝っぱらから走んなきゃなんねーんだ・・・」

 そのうちの、金の長い髪を後ろでひとつにくくっている少年があくびをかみ殺しながら愚痴る。

「ゼロ兄さんがもっと早くに起きてれば走らなくてもよかったんだけど・・・」

 その隣で、同じく走りながら隣の少年の愚痴に突っ込みを入れているのは、濃い青色の髪を持つ少年。

「エックス・・・怒って・・・る・・・か?・・・」

「・・・べっつにぃ・・・毎朝毎朝起こしても兄さんが二度寝することなんてもう慣れてるしぃ・・・兄さんのご飯当番代わりにしてあげるのだってもう慣れちゃったしぃ・・・今日は絶対に起きるって約束破ったのもぜぇんぜん気にしてなんかないよぉ」

 気にしていないという言葉とは裏腹に、その口調は機嫌が悪いことを十分にわからせるもので・・・

「・・・機嫌直せよ・・・」

 ため息混じりに言った兄の言葉に、

「・・・今日のお昼、購買の焼きそばパンと牛乳買っておいてくれたら考えてもいい」

 と、条件を出した。

 たかがパンと牛乳と言うなかれ。学生にとってはお小遣いをどうやりくりするかが問題なのだ。

 買いたい物がある場合お昼代として貰ったお金を使わずにとっておくのも手の内である。

「・・・・了解・・・・」

 お小遣いのやりくりと言った点ではゼロも同じなのだが、このままエックスの機嫌が悪いと後々面倒になるのは目に見えているので素直にその条件を飲み込んだ。

 

 

 

「エックスも毎朝大変よねぇ・・・さて、それじゃ私もそろそろ行こうかしら」

 弟二人を送り出して、自らも出社の準備をはじめているのは金髪の女性。

「エイリア、今日は私も途中まで一緒に行こう」

 そんな彼女に声をかけたのは、警官姿の弟のエックスの髪より黒い青髪の男性。

「あら、シグナス兄さん。今日は早いのね」

「ああ、早番なんだ。帰ってくるのもいつもより早くなると思う」

 そんな話をしながら玄関に立つと、ちょうど二階から一人の青年が下りてきた。

「ふぁ〜・・・おはよぉ〜」

 大あくびをしながら降りてきた青年の様子にエイリアは苦笑をもらす。

「くすっ。ダグラスったら。早く顔を洗ってきなさい」

「はぁ〜い・・・って、あれ?シグナス兄さんももう行くの?」

「ああ、今日は早番でな。ダグラス、火元と戸締りの確認。頼んだぞ」

「了解っす♪」

 少しおちゃらけた様子だが、きちんと返事をしたダグラスに、よしっとシグナスは微笑んだ。

「では、行ってきます」

「行ってきま〜す。あ、今日は少し遅くなるかもしれないから」

「わかった。ゼロとエックスには?」

「ちゃんと言ってあるわよ」

「ん、じゃ。行ってらっしゃい♪」

 こうして、長男と長女も家を出た。

「あふ・・・さて。・・・まず顔洗わなきゃ・・・」

 

 

 こうして、この兄弟たちの1日が始まります。

 

 

 

 

 その日の夜

 

 

「・・・・シグナス兄さん、今日は早いって言ってたよね」

 夕食を食べ終え、リビングでくつろいでいる次男、三男、四男。

「そういや昨日そんな事言ってたよなぁ・・・」 

 話題はどうやら早く帰ると言っていた長男がまだ帰ってきていない事らしい。

「・・・何かあったのかな?」

「エックスは心配しすぎだよ。いきなり残業とかって、兄さんの仕事じゃよくあるじゃないか」

「そうそう、んな心配することねぇって」

「でも・・・」

 それでもまだ不安だ、と言うように表情を曇らせる四男に、次男と三男は顔を見合わせ苦笑した。

「ただいま〜」

 ちょうどその時、玄関のドアが開く音が。続いて女性の声が聞こえた。

「お?エイリア姉さんが帰ってきたみたいだな」

 リビングに入ってきた長女を弟達が出迎える。

「お帰り、姉さん」

「ただいまぁ・・・ねぇちょっと聞いてよ!今日・・・・あら?兄さんはまだ帰ってないの?」

 いきなり何かを愚痴ろうとした長女だったが、リビングにいるはずのメンバーが足りないことに気がついて話を中断する。

「そうなんだ!いつもなら兄さん、遅くなるときは必ず連絡くれるのに・・・・」

「あら・・・連絡もまだなのね・・・」

 四男は相変わらず暗い表情、さらに帰ってきたばかりの長女まで心配そうな顔をするので、次男と四男も多少不安になってきた。

「ただいま、遅くなってすまない」

 リビングが完全に暗い雰囲気になりそうな一歩手前でようやく待ちわびていた長男の帰省の声が聞こえた。

「あ!兄さんおかえりー!!」

 その声を聞いて真っ先に玄関へ向かったのは四男、続いて残りの三人も玄関へと向かう。

 そして、4人は玄関でちょっと信じがたいものを見た。

 しばらく放心していた4人だったが、三男が意を決して長男に問う。

「・・・・兄貴・・・それ、兄貴の隠し子?」

「何故そうなる・・・」

 三男の問いに、頭痛を抑えるようにこめかみに手を添える長男。何故三男がそのような問いをしたかというと・・・長男にしがみつき、彼の影に隠れるように4人の様子を見ている二人の少年と少女がいたからだ。

「この子達は・・・私達の弟と妹になるらしい」

「はい質問」

 長男が一呼吸する間に長女の手が上がる。その時間わずか0.5秒!

「・・・なんだ・・・」

「弟と妹って・・・実の・・・?」

 長女の質問は『養子という意味ではなくて?』と言うことらしいが、冷静に見えるようでかなり動転している彼女の言葉はかなり短くなっていた。

「・・・おそらく・・・な」

 

 

 ここから、長男の回想に入る。

 

 

「お疲れ様です、シグナスさん」

 派出所で書類の記入をしていると、後輩のブラフマー君がお茶を淹れてきてくれた。

「ああ、どうもありがとう」

 私はそれを一口飲むと、また書類へ目をやる。すると・・・

「・・・あ・・・あのっ」

 入り口から少年の呼ぶ声が聞こえてきたのだ。顔を上げて、声のした方を見ると。おそらく年齢は10〜12あたりであろう少年とその陰に隠れるようにしてこちらを見ている少女が、大荷物を抱えたままこちらの様子を伺っていた。

「ん?どうしたんだい?」

 ブラフマー君がその少年と少女の対応にあたる。見た目からしても、このあたりは初めてなのだろうと言うことがわかる。きっと迷子なんだな・・・そう思っていると・・・

「あ・・・あの。ここにシグナスお兄ちゃんがいるって聞いてきたんだけど・・・」

「へ・・・?お・・・おにいちゃ・・・ん?」

 ブラフマー君の声が驚きのあまり裏返る。普通、私の事を呼ぶ場合この子達くらいの年の子ならば『お兄ちゃん』ではなく『おじさん』であろう。

 私も、突然の事に持っていたペンを落としてしまうほど動揺はしたが・・・すぐに気を取り直して少年に尋ねた。

「私がシグナスだが・・・」

「あんたがシグナスお兄ちゃん?」

 流石に面と向かって聞かれると返事がしづらくなるが・・・

「あ・・・ああ・・・・き、君は?」

「初めまして!僕の名前はアクセル。こっちは双子の妹のマリア。これから宜しくお願いします!!」

 

 

 

「それから詳しく話を聞くと、どうやらアクセルとマリアは父親・・・この場合、私達の父親に当たるのだが・・・に、手紙と私達の住んでいる場所、つまり、ここだな・・・の住所、さらに私の勤務先を教えられはるばるやって来たそうだ」

 話を聞き終わり、全員が黙り込む。

「で・・でも、この子達が俺達の弟と妹って言うのは・・・・」

「こんだけ似てりゃ・・否定はできねぇよな・・・」

 いまだに信じられないでいるエックスが言おうとした言葉を、ゼロが遮る。

「・・・似て・・・る?」

 ゼロの言葉にエックスは首をかしげる。

 だが、他のメンバーは首を縦に振り力強く頷いていた。

「へ?・・・どういうこと?」

「・・・こういうことだ」

 まだ気が付かないエックスの隣で、同じくはてなマークを浮かべていたマリアの髪をゼロがゆっくりと持ち上げる。

 長く伸びた髪を上に上げられ、首元がすっきりとしたその顔はエックスによく似ていた。

「・・・俺に・・似てるって事?」

 元々、女顔に見られている事を良く思っていないエックスが少し嫌そうな顔をする。そんなエックスの様子に、なんにか悪いことをしてしまったのかとマリアの顔が曇った。

「・・・あ・・あの・・・ぼく・・・・」

 申し訳なさそうに声を出す少女に視線が集まる。

「ぼく・・・来ちゃいけなかった・・・ですか?」

 今にも泣き出しそうな顔でそんなことを言われて、しかもそんな彼女を心配そうに抱きしめるアクセルに睨まれている状態でいけなかったなんて言える筈もなく・・・

「んなこたねぇって!それに俺達は兄妹だ!来ちゃいけないなんて事があるか!?」

 ゼロにいたってはもう彼女を自分の妹として受け入れているようだった。

「ほんと?」

「ああ、たとえ兄貴や姉貴が反対しようともお前は俺の妹だ!!」

 アクセルはどうなんだ・・・という疑問は次のゼロの行動で明らかになる。

 アクセルに抱きしめられているマリアを奪い取り、ぎゅっと抱きしめた・・・マリアも嬉しそうに抱き返すが、アクセルは思い切りゼロを睨んでいる。しかしゼロも負けじとアクセルを睨み返している。

 

 

 っていうかお前らは何やってるんだ・・・・・・・

 

 

 睨み合いを続ける二人に他のメンバー(マリアを除く)は大きくため息をついた。

「・・・そんなに嬉しい?」

 そんなとき、ゼロにしがみついているマリアが本当に幸せそうに微笑んでいたのでエックスが尋ねた。上に兄姉が4人もいる彼にとって、兄妹がそれほど嬉しいものに思えなかったのだ。

「うん!だって、ぼくいっつもアクセルと2人きりだったから・・・」

「え!?父さんと母さんは!?」

「・・・お父さんもお母さんもいつも研究が忙しいから・・・あんまりお家に帰ってきてくれないの・・・」

 しょぼん、と寂しそうに言うマリアを、ゼロはさらにきつく抱きしめた。

「あんのハゲ親父・・・・こんな小さなマリアにまで寂しい思いさせてやがるのか!?」

 だからアクセルは・・・・という疑問を吹っ飛ばすくらいの勢いでゼロのシスコンぶりが激しくなっていく・・・

 ちなみに、彼らの父親は、世界的にも有名な学者。日々世界中を飛び回って様々な研究を行っているのだが・・・・そんな彼に母親は助手として付いて行き、後には兄弟たちだけが残される形となったのだ。

 初めのうちは、一番幼いエックスが寂しさのあまり毎晩のように泣き出したり、ゼロが荒れた生活を送ったりしていたが・・・みな、それぞれ成長し、ようやく落ち着き始めたところだったのだ。

 それなのに、今になってまた研究に邪魔だからと自分の子供を置き去りにするのかと、ゼロの中で怒りの感情が大きくなっていた。

「兄貴!俺は決めた、例え皆が反対しようとも『マリア』は俺一人でも育てるぞ!!」

 ゼロはマリアを抱きしめながらそう言い放つ。完全にアクセルの存在を排除したその言い方に、シグナスは(本気で)苦笑いするしかなかった・・・

「こらこら、一人で話を進めるんじゃない。誰が反対すると言った?」

 苦笑し、優しく言い聞かせるように言われた言葉にシグナス以外のメンバーが目を見開く。

「え?兄さんそれじゃあ・・・」

「家族を受け入れるのに理由なんてものは要らない。アクセルもマリアもれっきとした私たちの兄妹なんだ。一緒に暮らしてはいけないはずないだろう?」

「僕達、ここにいてもいいのか!?」

 シグナスの隣に移動したアクセルは嬉しそうに言うが、いつの間にかゼロの腕から抜け出し、シグナスの隣にきていたマリアはまだ少し不安そうな顔をしている。

「もちろんだ。お前達も私達の大事な家族なんだぞ」

 微笑んで言われたその言葉に、アクセルとマリアは満面の笑みを浮かべシグナスに抱きついた。

「「これからよろしくお願いします!!」」

 

 

 

 

 こうして、俺達兄弟に新しいメンバーが加わりました。

 一人目は双子の兄のアクセル。

 小さい時に付けらたしい、額には大きなばってんの傷がある少年。明るく、元気いっぱいな子です。 

 もう一人は、双子の妹のマリア。

 俺によく似ているらしいけど、彼女のほうがずっと可愛らしい顔をしてると俺は思っています。

 二人ははこれから近所の中学校に通うことになりました。1年生です。

 みんな、二人の事をとっても可愛がっています・・・俺もだけど・・・自分に弟と妹がいっぺんに出来るとは思ってなかったので、とても嬉しいんです。

 中でもゼロ兄さんは、マリアの事を本当に大事にしています・・・おかげで、マリアを守ろうとしてるアクセルとの間で喧嘩が絶えないけど・・・

 弟の俺が言うのもなんですが・・・あれはちょっと異常かもしれません・・・・ゼロ兄さんってシスコンだったんだ・・・・と、嫌な新事実を発見してしまいました・・・

 

 

 これで、俺の兄弟の紹介は終わりです。それでは、失礼いたします。

 

 

 

FIN

 



後書き

投稿された小説や、サイトに掲載してあるものを呼んでいて、ふと思ったんですよ。

『登場キャラが家族になってる話しってないなぁ』って・・・

で、書いちゃいました。主要キャラがみんな家族なお話し(おまけ付き)

最後にアクセルが出てきたのはちょうど終わりがけを書いてるときにX7をやってたから・・・

アクセルとマリアって年近そうだなぁ・・・と思いましてね

でもX7にダグラス出てこないのよね・・・





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