To you who are not any longer...



 大粒の雨の中・・・向かい合う二つの人影・・・・

「・・・あのときと同じだな・・・君と初めて逢ったあの日と・・・もっとも・・・あの時まわりにあるのは瓦礫ではなく緑の木々だったが・・・」

 淡々と話すシヴァを虚ろな瞳で見つめ・・・ヴィシュヌは考えていた・・・

 ・・・他のハンターに殺されるのを黙って見ているくらいなら・・・いっそ・・・この手で・・・

 そんなヴィシュヌの様子を知ってか知らずか・・・シヴァはヴィシュヌを抱き締めた・・・

「本当は・・・こんな事言えた義理ではないが・・・私を・・・殺してくれ・・・」

 耳元で囁かれ体が強張る、心の中を覗かれた気分だ・・・

「この戦いに身を投じたときから考えていた・・・君と敵対するならいっそ・・・君の手で逝きたいと・・・」

「・・・勝手だよ・・・・私・・・が・・・・貴方を・・・・殺せるわけ・・・・・ないじゃない・・・・」

 そう言ってシヴァに抱きつく・・・まるで、互いの身体を一つにするかの様に二人はきつく抱き合った・・・

「・・・ねぇ・・・一緒に逃げようよ・・・貴方と一緒なら私、他には何も・・・」

 そのとき、ヴィシュヌは微かな気配を感じ顔を上げた・・・注意深く辺りを見ると・・・・おそらくレプリフォースの兵士だろう。こちらの様子を伺っているのがわかった・・・

「すまない・・・どうやら君と話をする時間も与えては貰えなかったようだ・・・」

 シヴァはそう言いい懐から一丁の銃を取り出し・・・そして・・・

 ガウン!!

「ぎゃぁぁ!!」

 兵士の一人が炎に包まれ転げまわる、他の兵士達は一斉にこちらに銃を向けた!!

「逃げろ!!ここは私が食い止める!!」

「で、でも!!」

 心配そうに言うヴィシュヌにシヴァは微笑みかけ・・・

「大丈夫・・・また後で会おう・・・・さぁ!行け!!!」

 その声を合図に走り出した・・・・・・

 

 

 

 

 

 どれくらい走っただろうか・・・雨のせいで正確な時間帯もわからない・・・無我夢中で走り回って、足を絡ませ倒れて、また、走って、走って、走って・・・・・・・・

 気がつくと・・・彼と最後に別れたあの場所に戻って来ていた・・・・・

 そして・・・ヴィシュヌの目に飛び込んできたもの・・・

 地面ニ転ガル沢山ノ薬莢、雨ノセイデ広ガッタ赤黒イオイル・・・・ソシテ、ボロボロニナッテ横タワッテイル・・・貴方ノ・・・身体・・・

 ヴィシュヌはゆっくりと彼に歩み寄る・・・彼のボディは大破し・・・剥き出しの動力炉に幾つもの銃弾の跡が見れた・・・

 彼の頬を撫で、ゆっくりと抱き起こそうとしたが・・・・

 ハチバチッ!!

 首の接続部分が外れ、その頭が転がった・・・

 起こそうとしていたボディを寝かせ、アイセンサーと電子頭脳が剥き出しになったその頭を抱き締める・・・

 どうして?何故こんな事になってしまった?

 ソレハ、レプリフォースガクーデターヲ起コシタカラ

 何故シヴァがこんな死にかたをしなくちゃいけない?

 ソレハ、彼ガレプリフォースヲ裏切ッタカラ

 私達から幸せを奪ったのは?

 ソレハ、レプリフォース

 私達を引き裂いたのは?

 ソレハ、レプリフォース

 レプリフォースって何?

 ソレハ排除スベキイレギュラーノ集団

 レプリフォースは・・・イレギュラーの集団・・・?

 イレギュラーハ処理シナケレバナラナイ

 イレギュラーは処理しなければならない・・・・

 レプリフォースはイレギュラー・・・イレギュラーは処理しなければならない・・・レプリフォースのせいで・・・シヴァは死んだ・・・シヴァ、シヴァ!!愛しいシヴァ!!もう目を開けえる事も無い!その腕で抱き締めてもくれない!!二度と名前を呼んでくれない!!!

 シヴァヲ殺シタ・・・レプリフォースヲ・・・・・排除セヨ・・・

「シヴァを殺したのは・・・レプリフォース・・・」

 レプリフォースヲ排除セヨ!!

 ヴィシュヌは抱えていた頭を持ち上げ、最初で最後の恋人同士のキスをした・・・

「ん・・・ハァ・・・・・・・・・レプリフォース・・・・・・俺が・・・・排除してやる・・・・」

 そう言ったヴィシュヌの頬には梵字のような模様が浮き出ていた・・・







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