To you who are not any longer...

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 ―イレギュラーハンター本部―

「ゼロ隊長よりカギキラジャングル、ビームキャノン発射阻止成功との報告がありました!!」

 巨大モニターを前に、一人のオペレーターが叫ぶ。司令室に歓声が上がる・・・だが・・・

「エックス隊長が!!」

 別のオペレーターが青ざめた顔で叫ぶ。

「どうした!!」

 総監が叫ぶ、オペレーターは慌てながらもはっきりとこう言った。

「ぜ、前線基地で苦戦中との連絡が・・・第17部隊員よりたった今入れられました!!」

「・・・エックス隊長・・・負けそうなの?」

 不意にした場違いな声に、その場にいた全員がドアの方を見た・・・そこには・・・

「じゃあ、俺が援護に行ってあげる・・・良いでしょ?総監」

 ヴィシュヌだ・・・

「ひぃっ!」

 司令室に入ってきたヴィシュヌを見て、小さな悲鳴が上がった・・・後ずさる者までいる・・・その胸に黒髪の青年の頭を抱え、純白のアーマーを赤黒いオイルで汚し、手にはアーマー同様オイルの付いたベレー帽を持っていた・・・

 ヴィシュヌは、きょろきょろと誰かを探し始め・・・

「母さん、何処にいるの?」

 迷子になった子供のような声で母を呼ぶ・・・

「ここだ・・・」

 司令室よりさらに置くにある作戦室、そこからユーマが出てきた。ヴィシュヌは彼女に駆け寄り嬉しそうに腕の中の彼を紹介する・・・・

「母さん、この人が俺の大好きな人。名前はシヴァって言うんだよ・・・あのね、お願いがあるんだけど・・・いい?」

 その光景は異様なものだった・・・嬉しそうに頭だけになった恋人を紹介する子供に、表情を変えず話しを聞く母・・・

「俺、今からイレギュラーの処理に行くから、この人のことお願いね。さっき寝ちゃったらしくて、いくら呼んでも起きてくれないんだ・・・・この人が起きるまでには帰ってくるけど、もし帰って来る前に起きちゃったらすぐ帰ってくるからって待っててくれるように言ってね?」

 そう言ってユーマに『シヴァ』を託すと、手に持っていた彼のベレー帽をかぶり・・・

「じゃ、いってきま〜す♪」

 軽い足取りで司令室を出ていった・・・

 ヴィシュヌが出動したとの連絡が入りユーマが口を開いた・・・

「総監・・・ライフセイバーを呼んでもらえぬか?この青年のボディを回収してもらいたい・・・このままではあまりにも・・・な・・・」

 腕の中の頭だけの青年に慈悲の眼差しを向ける彼女・・・常人には考えられない光景・・・

「あ、ああ・・・」

 総監もそう答えるだけで精一杯のようだ。

「後、もう一つ・・・あの子の行動を常に把握できるようにしておいてはもらえんか?・・・・イレギュラー化の兆しが見えた場合・・・・当初の契約どおり、出動許可が無くても私は行く・・・」

 

 もし・・・ヴィシュヌがイレギュラーと化したなら・・・そのときは・・・・私があの子を・・・







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