To you who are not any longer...
・・・ここまで・・・なのか・・・? フロスト・キバトドスとの戦闘でエックスの鮮やかな青色のアーマーには大量のひびが入り、あと数発攻撃をくらえば粉々に砕け散ってしまうだろう・・・ 「3度も世界を救った英雄とかって聞いたからどんなに強い奴が来るのかと思いきや・・・拍子抜けだな・・・これで終わりにするか・・・・」 キバトドスの手に巨大な氷の塊が出来る・・・ ・・・くそ・・・・何か・・・何か方法はないか・・・・この窮地を脱する方法が!! キバトドスは大きく振りかぶり・・・・・・・・・・ ザシュゥ!!!! 「・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 突如響き渡った悲鳴・・・それはエックスのものではなく・・・キバトドスが腕を肩から切断されたために上げた悲鳴・・・ 「たいちょぉ、こんな弱そうな奴に苦戦してちゃ駄目ですよぉ」 そう言って二人の前に現れたのは・・・・・ 「・・・君は・・・・・ヴィシュヌ?・・・」 「やっほ〜♪」 エックスが不思議そうに名前を呼んだのには理由がある・・・今のヴィシュヌの姿は普段の穏やかな様子とはまったく違うものだったのだ・・・緊張感の無い喋り方はもとより、後ろで束ねている長い金の髪をほどき・・・純白のアーマーは漆黒に染まり・・・そのボディも・・・見るからに女性だという事がわかる・・・そして、頭には赤黒いオイルのついたベレー帽をかぶっていた・・・ 「て・・・てんめぇ・・・」 「!?危ない!!」 キバトドスがうめきながらヴィシュヌに攻撃を仕掛けようとする・・・が・・・ ・・・ヒュオン・・・・ 風の切れる音・・・そして・・・・次の瞬間キバトドスの巨体はオイルで赤く染まった床に倒れこんでいた・・・ 「・・・弱いなぁ・・・さて、次もとっとと終わらせちゃおっと・・・エックスたーいちょ♪俺、先に行ってるよ?あ、これ使って良いから。じゃあねん♪」 そう言ってライフエネルギーを投げ渡すと・・・その背に大きな翼を広げ、飛び去ってしまった・・・
その様子をモニターで見ていた総監がつぶやいた・・・ 「これが・・・本当にあのヴィシュヌなのか?・・・・・」 隣にいた副総監のシグナスがユーマに聞く。 「これは一体どういうことなんだ?ヴィシュヌに・・・飛行能力があるとは聞いていなかったが・・・」 しばらく黙っていたユーマが口を開く・・・ 「・・・あの子のボディには・・・私が創り出した金属が使われているということは話してあったな?」 「ああ・・・」 「私はその金属を『PRM(パルム)』と呼んでいる・・・正式に付けた名称は『Protean Metal(パルティオンメタル)』その名のとおり・・・変幻自在な金属だ・・・」 彼女はヴィシュヌのボディが特殊だと言う事を簡単に説明し、最後にこう言った。 「この金属は使いこなせばどんな事でも出来る・・・己のボディを飛行形態に変化させる事もたやすいと言うわけだ・・・・」 言い終わると新しい煙草をくわえ、火をつけた。 「なんという事だ・・・」 総監は言葉を失っている・・・ユーマはそのまま歩き出した・・・ 「!?何処に行く?」 「・・・あの子の所へ・・・このまま行けば・・・あの子の『心』が無くなってしまうのにもそう時間はかからないだろう・・・そうなってしまえば・・・私でもあの子を止められるかわからん・・・・最悪の場合は・・・」 そのまま彼女は司令室を出ていった・・・ |
||