To you who are not any longer...
「こいつも弱かったなぁ・・・・つまんないや・・・」 拗ねたように言うヴィシュヌの足元には・・・『鋼の破壊王』と呼ばれていたスラッシュ・ビストレオの無残な姿・・・ 「後どのくらい残ってるのかなァ?」 軽く辺りを見まわす、周りにあるのは兵士達の亡骸と暴走列車の残骸・・・ 「・・・ねぇ、母さん?」 ヴィシュヌはゆっくりと振りかえりいつのまにか後ろに現れた母を呼ぶ・・・ 「・・・・・・・・・」 ユーマはいつもの白衣姿ではなく、軽装ではあるが戦闘用スーツに身を包んでいた・・・ 「どうしたの母さん、そんな怖い顔して・・・・」 クスクスと笑いながら言うヴィシュヌに対しユーマはくわえている煙草を捨て、火を踏み消した・・・ 「今のお前はただ殺戮を楽しんでいるに過ぎない・・・それではイレギュラーと何ら変わりない・・・」 そして静かに我が子に銃口を向ける・・・ 「イレギュラーと化したお前を止めることが・・・お前をこの世に生み出した私の役目・・・」 「あれ?母さん俺と戦うの?・・・どうなっても知らないよ・・・・」 そう言ったヴィシュヌの顔は酷く嬉しそうだった・・・
ドウ!ドウ!!ドウ!!! 銃声が鳴り響く。だが、ヴィシュヌはまるで弾道を見抜いているかの様に余裕の笑みさえこぼしながら全てを避けユーマに攻撃を仕掛ける。 ガキィィン!! ユーマはそれを後ろに飛んでかわし、さらに無数の銃弾を浴びせる!! ダダダダダダダダ!!!! 「うわっと・・・流石ですねぇ・・・形はハンドガンなのにその連射率・・・貴女の手にかかれば出来ない物なんてほんとに無いんでしょうね・・・・」 さも楽しそうに口元に笑みを浮かべ彼女の攻撃を全てかわす・・・ カチカチッ!! 「く・・・」 ハンドガンの弾が切れ、それを補充しようとしたとき・・・ 「もらったぁ!!」 キュィィン!! ユーマの持っていた2丁のハンドガンが真っ二つに切り裂かれる・・・ 「これで・・・貴女はもう攻撃出来ない・・・俺の勝ちです・・・・ククク・・・」 そう言って鎌を振りかざす・・・・ 「俺の邪魔をする者は・・・例え母さんでも容赦はしない・・・さようなら・・・母さん・・・・」 鎌を振り下ろすヴィシュヌの動きに・・・躊躇は無かった・・・・ ザクゥ!! 「・・・・・・な・・・・」 振り下ろした鎌も切っ先に母の姿は無かった・・・そんなはずは無い!確かにこの目で母を見据え、この鎌を振り下ろしたはずだ!!と、ヴィシュヌは言い様の無い恐怖感に支配され始めていた・・・ そんなはずない!変だ!変だ!!変だ!!!一体何が!? 「ふむ・・・動揺が現れたか・・・」 後ろからの声に体が強張る。ゆっくりと振りかえると、そこにはまったく顔色を変えずに腕を組み瓦礫に腰をかけている母の姿。 「良い傾向だ・・・多少でも心に揺れが現れたなら・・・お前はまだやりなおせ・・・」 「なんで!?今のが避けられるわけ無いのに!!」 ユーマの言葉をさえぎり、ヴィシュヌは叫んだ。明らかに見て取れる動揺・・・ヴィシュヌは・・・恐怖していた・・・ 「・・・お前には教えていなかったな・・・私の戦闘方は・・・銃撃では無いのだよ・・・」 言い終わるより早くユーマの姿が視界から消える、ヴィシュヌは慌てて構えるが・・・ ズン!! 腹部に激しい衝撃を受け吹き飛ばされ、瓦礫に激突する!!壁にぶつかる瞬間母の姿が視界に入り、蹴りをくらったのだとわかる。 「・・・これが本来の戦い方だ・・・」 静かに言うと、ユーマは上段の構えを取った・・・ 「く・・・・くくくく・・・・そうですよね・・・貴女がそう簡単に倒されるはずが無い・・・」 瓦礫に埋もれた身体を起こすと、ヴィシュヌも戦闘体勢に入る・・・ 「今度こそ・・・眠らせてあげますよ・・・」 「・・・生憎まだ眠くないのでな・・・いくぞ!!」 |
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