UMBRELLA
しとしとしとしと・・・ 昼も夜も降り続く雨、今日でもう3日間も降り続いている。 「・・・つまんない・・・」 そんな外の様子を窓辺でぼんやりと見つめながら呟いたのは若草色の長い髪が特徴的な、可愛らしい少女。 「そうだね・・・今日のお昼過ぎくらいには上がると思うんだけど・・・」 そんな少女の様子に、ソファーに腰をかけ雑誌を読んでいた青髪の兄が少女の傍へと移動し、彼女の頭を撫でた。 「にいちゃん・・・ぼくこのままじゃ退屈で死んじゃうよぉ〜」 くたぁっと頭をうなだれた妹の様子に兄は苦笑し、 「もう少しの我慢だよ」 と頭に置いていた手でぽんぽんっとと優しく叩いた。 「何でもう少しなの?」 兄の言葉に疑問を感じた少女は頭を軽く上げ、兄の顔を見る。 「ん?それはね・・・」 ダダダダダダダダダダ!!! 兄が何かを言おうとした時、廊下から物凄い足音が近づいてきて・・・ 「あ、帰ってきたみたいだね」 「?」 兄は足音の主が誰だかわかってるようだったが、少女は不思議そうにドアを見た。 「ただいま!!マリア!お土産買って来たぞ!!」 と勢いよくドアを開け部屋に入ってきたのは少女のもう1人の兄。 「お帰りゼロ兄ちゃん♪」 少女は帰ってきた兄に嬉しそうに抱きつくと、兄も幸せそうに少女を抱き返した。 「ただいまぁ〜Vvああ・・・俺今なら死んでもいいかも・・・・V」 兄は、少女を力いっぱい抱きしめるので腕の中で彼女は少しもがいていた。 「に・・・兄ちゃん・・・ちょっと苦しいよぉ・・・・」 本当に幸せそうにしている兄は、少女の様子にまだ気付いていない。そんな彼の様子に、もう一人の兄は苦笑する。 「ほら、そんなにきつく抱きしめたらマリアがつぶれちゃうよ?」 「へ?あっ!マリアすまん!!大丈夫か?」 後輩ハンターや、イレギュラー達に恐れられている彼も、この可愛らしい少女。自分の妹にはとても甘いのだ。 「うん、ちょっとくるしかったけど、もう大丈夫だよ♪」 心配そうに見つめる兄に少女は・・・この金髪の兄曰く、とびきりの笑顔で大丈夫だと伝える。 「そういえばゼロ兄ちゃん、お土産って?」 そして、兄が帰ってくると同時に言った言葉を思い出し尋ねる。 「ん?あ、そうそうこれこれ、お前がほしがってた物だ」 と、つい先程までその存在すら忘れていた細長い包みを少女に手渡す。少女は不思議そうにその包みと兄の顔を交互に見ていたが。兄の、開けてみろという言葉に従い丁寧に包みを解いていった。 「あ・・・これ・・・」 包みの中から出てきたのは可愛らしいデザインの傘。つい先日、少女が街のショッピングモールで見つけ気になっていたものだった。 「でも、どうして?」 欲しかった物が手に入った嬉しさと、何故兄がこの傘の事を知っていたのかという気持ちから表情が複雑な物になる。 「兄ちゃんはマリアの事ならなんだって知ってるんだぞ」 と金髪の兄は少女の頭を優しく撫でた。 「さて、マリア。外は雨、手の中には欲しかった傘がある。この場合・・・どうする?」 先程まで二人の様子を見ていたもう一人の兄が、笑顔で少女に尋ねてきた。その質問に少女は、 「兄ちゃん達と一緒にお出かけ!!」 と、とても嬉しそうに答える。 「じゃあ準備しておいで」 「はーい♪」 とたとたと自室にもどる少女の背が見えなくなるのを確認すると、青髪の兄は金髪の兄に・・・ 「・・・もうそろそろホーネックさんやヒャクレッガーさんにマリアの後つけさせるの、やめておきなよ」 と呆れたように言う。金髪の兄はその言葉にただ冷や汗をたらし、引きつった笑みを浮かべる事しか出来なかったとさ。 FIN |
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後書き キリ番7000を踏まれた亜聖様からのリクエスト小説です! リク内容は『マリアと愉快な兄ちゃん’S(一部誤植あり)』でしたのでゼロの兄ばかッぷりを存分に発揮いたしました!!(笑) ・・・私にはクールなゼロは書けないようです(^^; 亜聖様、こんな駄文ですがどうぞお納めくださいませ〜。 |